『サンダー・キャッツの発酵の旅』Sandor Ellix Katz著

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サンダー・キャッツの発酵の旅

『サンダー・キャッツの発酵の旅』

著者
Sandor Ellix Katz [著]/水原 文 [訳]
出版社
オライリー・ジャパン
ジャンル
芸術・生活/家事
ISBN
9784814400577
発売日
2024/06/27
価格
3,520円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『サンダー・キャッツの発酵の旅』Sandor Ellix Katz著

[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)

 発酵は不思議、発酵は面白い、発酵は奥深い。

 発酵に魅せられた作者が世界中を旅して集めた、人の知恵。日本の納豆、塩麹(しおこうじ)や味噌(みそ)はもちろん、竜舌蘭(りゅうぜつらん)や蜂蜜、米やトウモロコシから作られるアルコール、メキシコ風やポーランド風のキムチ、ビルマ料理の発酵させた茶葉ラペソー、テンペ、毛豆腐、カカオとコーヒー、各種乳製品などなどなど。しかも五〇以上のレシピ付き(難易度は高めだけど)。

 悪名高いイヌイットの保存食キビヤック(アザラシのお腹(なか)に詰め込んで発酵させた海鳥)の食レポがなかったのは残念。でもイタリアでふなずしを作ろうと試みるコラムは面白かった。

 世界中どこでも、人は食べられないものを発酵させて食べられるものにし、保存している。

 「発酵はあなたの生まれながらの権利であり、文化遺産でもある」

 発酵は人が手に入れた最大の魔法かもしれない。水原文訳。(オライリー・ジャパン、3520円)

読売新聞
2024年8月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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