「日本は特権層が利権を寡占する“官僚国家”」泉房穂が志半ばで倒れた恩師の思想を解説[新書ベストセラー]

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 10月8日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『学力喪失 認知科学による回復への道筋』が獲得した。
 第2位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』。第3位は『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』となった。

 4位以下で注目は9位に初登場の『わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇』。前明石市長の泉房穂さんが政治家になる前、秘書を務めた石井紘基氏の政治哲学について語った一冊。石井紘基氏は2002年10月、右翼団体代表を名乗る男に襲撃され61歳で命を落とした。当時石井氏は、日本の実体を特権層が利権を寡占する「官僚国家」と看破し、弱者救済と不正の追及に心血を注いでいた。石井氏の薫陶を受けた泉さんは同書で石井氏の政治哲学を解説し、既得権益を打破する「救民内閣」構想を提唱している。

 石井氏は自身の誕生日である10月9日、Xに《亡き恩師・石井紘基さんと同じ61歳になってしまった。25歳の時に石井紘基さんと出会い、39歳の時に石井紘基さんを失った。あれから22年の歳月が経ったが、いまだに日本の政治は夜明けを迎えていない。夜明け前が最も暗くて寒いと言われるが、今がまさにそうかもしれない・・・》と投稿し、石井氏の描いた理想の日本に思いを馳せていた。

1位『学力喪失 認知科学による回復への道筋』今井むつみ[著](岩波書店)

子どもたちが本来の「学ぶ力」を学校で発揮できないのはなぜか。学力の躓きの原因を認知科学の知見から解明し、希望をひらく。(岩波書店ウェブサイトより)

2位『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆[著](集英社)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは?すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。(集英社ウェブサイトより)

3位『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』藪本勝治[著](中央公論新社)

鎌倉幕府草創から中期までの事績を記した『吾妻鏡』。源頼朝挙兵に至る経緯、二代将軍頼家の暗愚、三代執権北条泰時の武勇と仁徳ほか、小説やドラマが描く挿話の多くはこの史料に基づく。幕府の公式記録とも言われるが、史実の錯誤や改変も少なくない。本書では平家追討、奥州合戦、実朝暗殺、承久の乱など主要な合戦や争乱の叙述を、近年の研究も踏まえて検証。「正史」に潜む虚構を洗い出し、隠された意図を明らかにする。(中央公論新社ウェブサイトより)

4位『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』麻田雅文[著](中央公論新社)

5位『アマテラスの正体』関裕二[著](新潮社)

6位『老後ひとり難民』沢村香苗[著](幻冬舎)

7位『放送禁止。「あさ8」で知るニュースの真相』百田尚樹[著]有本香[著](飛鳥新社)

8位『「腸と脳」の科学 脳と体を整える、腸の知られざるはたらき』坪井貴司[著](講談社)

9位『わが恩師 石井紘基が見破った官僚国家 日本の闇』泉房穂[著](集英社)

10位『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』Kazu Languages[著](SBクリエイティブ)

〈新書ランキング 10月8日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年10月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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