おひとりさまブームの末路 いざというときに頼れる人がいない『老後ひとり難民』はどうなってしまうのか? トラブル回避法・やるべきことを解説した一冊が売れている[新書ベストセラー]

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 10月1日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『学力喪失 認知科学による回復への道筋』が獲得した。
 第2位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』。第3位は『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』となった。

 4位以下で注目は5位にランクインした『老後ひとり難民』。結婚をしない人や子供をもたない人、また配偶者に先立たれた人や親族とのつきあいを断ってしまった人など、個人の考え方や様々な事情で「おひとりさま」となる人が増えている。いざというときに頼れる人がいない人は、老後どうなってしまうのだろう。同書では厳しい現実に向き合う高齢者を「老後ひとり難民」と呼ぶ。社会の変容をデータと実例で示しながら、「老後ひとり難民」に起こりがちなトラブルを解説。また行政による公的支援制度や民間事業者による「老後ひとり難民」をサポートするサービスを紹介し、その問題点を指摘する。そのうえで「老後ひとり難民」になる可能性がある人たちそれぞれが済ませておくべき手続きや、今すぐできる準備について詳細に解説している。著者は日本総研の研究員で高齢者心理学・消費者心理学の専門家。安心して老後を送るための知識が詰まった一冊だが、この問題は少子高齢化が進む日本社会全体で取り組むべき問題なのかもしれない。

1位『学力喪失 認知科学による回復への道筋』今井むつみ[著](岩波書店)

子どもたちが本来の「学ぶ力」を学校で発揮できないのはなぜか。学力の躓きの原因を認知科学の知見から解明し、希望をひらく。(岩波書店ウェブサイトより)

2位『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆[著](集英社)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは?すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。(集英社ウェブサイトより)

3位『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』藪本勝治[著](中央公論新社)

鎌倉幕府草創から中期までの事績を記した『吾妻鏡』。源頼朝挙兵に至る経緯、二代将軍頼家の暗愚、三代執権北条泰時の武勇と仁徳ほか、小説やドラマが描く挿話の多くはこの史料に基づく。幕府の公式記録とも言われるが、史実の錯誤や改変も少なくない。本書では平家追討、奥州合戦、実朝暗殺、承久の乱など主要な合戦や争乱の叙述を、近年の研究も踏まえて検証。「正史」に潜む虚構を洗い出し、隠された意図を明らかにする。(中央公論新社ウェブサイトより)

4位『放送禁止。「あさ8」で知るニュースの真相』百田尚樹[著]有本香[著](飛鳥新社)

5位『老後ひとり難民』沢村香苗[著](幻冬舎)

6位『アマテラスの正体』関裕二[著](新潮社)

7位『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』麻田雅文[著](中央公論新社)

8位『異次元緩和の罪と罰』山本謙三[著](講談社)

9位『老いの深み』黒井千次[著](中央公論新社)

10位『「エブリシング・バブル」リスクの深層 日本経済復活のシナリオ』エミン・ユルマズ[述]永濱利廣[述](講談社)

〈新書ランキング 10月1日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年10月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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