巡り会う作品と役には、いつも運命を感じています

 TBSのドラマ「コウノドリ」に出演したのは、2015年で、お芝居が「楽しい」から「お仕事」という意識に変わってきた頃でした。
 実は「コウノドリ」の直前に大きなドラマのオーディションがあったのですが、最終的に落ちてしまって。マネージャーさんが「次の作品で見返そうね」と発破をかけてくださったので、気合を入れて臨みました。でも私と同じ14歳の妊婦役なんて、そんな状況まったく想像できないし、母性なんてわからない。「お腹が大きくなるってどういうことなのかな」と自問自答しながら演じていました。けれど、不思議なことに出産シーンで赤ちゃんを見たら、14歳なりに私にも母性が生まれたんです。撮影が終わってもしばらく、ベビーカーを押しているお母さんを見ては、涙を流してしまうほどに。14歳の私にも母性が宿るなんて驚いたけど、母性って最初からあるのではなく妊娠出産という過程で徐々に芽生えていくのかなという発見もありました。
 演じている私は、私自身と別人格ではないんです。最初はまるで違うキャラクターだなと思っていても、演じているうちに、自分と似ているんじゃないかなと錯覚していくというか…。徐々に近づいていくのかな。ある時突然、その役が下りてくるんです。
 そして不思議なのですが、その時考えていることに関連する作品や役が巡ってくるような気がします。この1年くらい、喧嘩をしたわけではないですが、意識的に家族と距離をとるようにしていて、「家族」のことを常に考えていたら、昨年NHK夜ドラ「つまらない住宅地のすべての家」に出演させていただくことになって。私が勝手に意識しているだけかもしれませんが、いつもいただく役には運命的なものを感じています。