『鳩翁道話』
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『現代新訳 鳩翁道話』柴田鳩翁口述、福井栄一訳
[レビュアー] 産経新聞社
江戸時代に庶民の間で流行した「心学」の現代語訳。心学とは、仏教、神道、儒教の考えを融合させ人の正しい道を説いた哲学で、中でも柴田鳩翁(きゅうおう)(1783~1839年)の教えは、分かりやすいたとえ話で聴衆を魅了した。本書は、鳩翁の口述録を初めてまとまった形で現代語に訳したもの。
わが身を省みず他人をあしざまに言う者や、我欲から過ちを犯す者。さまざまな話から、心のゆがみを正すことを説く。生来の真っすぐな「本心」に従うことで、平安が得られる。現代にも通じる生き方が倫理を振りかざすことなく語られ、肚(はら)にすとんと落ちる。(青娥書房・1870円)