『夜明けをまつどうぶつたち』ファビオラ・アンチョレナ作

　二〇一九年、南米アマゾンとオーストラリアで大規模な森林火災が発生した。前者はおよそ九ヵ月にわたって複数の国に被害を与え、後者は三十億もの動物の命を奪った。本書はその事態を受け、世界の森林を「そこに生きる動物や植物を単なるビジネスとしか見ない」人々から守るプロジェクトとして作られた絵本だ。

　本書を支配しているのは漆黒、闇の色である。帯に推薦文を寄せている上白石萌音さんは、「黒い余白」と表現している。そこに、生き生きとして美しい動物たちの姿が浮かび上がる。

　明けない夜に不安を覚えた動物たちが、太陽を探して森の奥へと進んでゆく。しかし、見つけたものは偽りの危険な太陽だった。真の夜明けの太陽はどこにいってしまったのか。小さいお子さんたちには、少し怖く感じられる絵柄かもしれない。ぜひご家族で鑑賞してみてください。あみのまきこ訳。（ＮＨＫ出版、２０９０円）

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