『料理からたどるアガサ・クリスティー』カレン・ピアース著

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料理からたどるアガサ・クリスティー

『料理からたどるアガサ・クリスティー』

著者
カレン・ピアース [著]/富原 まさ江 [訳]
出版社
原書房
ジャンル
文学/外国文学、その他
ISBN
9784562074303
発売日
2024/08/16
価格
2,530円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『料理からたどるアガサ・クリスティー』カレン・ピアース著

[レビュアー] 池澤春菜(声優・作家・書評家)

 ミステリの女王は、健啖(けんたん)の女王でもあった。

 以前、クリスティーの作中に出てくる料理を再現したアフタヌーンティーをいただいたことがある。飲み物の中に「ダブルクリーム&ミルク」という、生クリームと牛乳を一対一で混ぜたものが。クリスティーはこれを一日一パイント(五六八ミリ・リットル)も愛飲していたというのだから、驚き。

 旺盛な食欲=創作力ではないだろう(だったらわたしは今頃一〇〇冊くらい本を書いているはず!)。でもそのエネルギーの一端に触れるようで興味深い。

 クリスティーと食をテーマにした既刊は何冊かあるが、本書の特徴は、料理から入るブックガイドという点。レシピは掲載されているけれど、写真はなし。その代わりクリスティーが生きた時代、料理と人々の暮らしの関わり、作中でどんな役割を果たすかが、クリスティー・ファンならではのブックガイドと厚いリサーチで描かれている。

 とりあえず「ダービー競馬の日に食べるイチゴのホイップクリーム添え」あたりから試してみよう。もちろん黒魔術も殺人事件もなしで。富原まさ江訳。(原書房、2530円)

読売新聞
2024年9月6日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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