『ヨーロッパの大聖堂 コンパクト版』ロルフ・トーマン編

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ヨーロッパの大聖堂 【コンパクト版】

『ヨーロッパの大聖堂 【コンパクト版】』

著者
ロルフ・トーマン [編集]/アヒム・ベトノルツ [写真]/バルバラ・ボルンゲッサー [著]
出版社
河出書房新社
ジャンル
芸術・生活/写真・工芸
ISBN
9784309257389
発売日
2024/04/10
価格
5,478円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『ヨーロッパの大聖堂 コンパクト版』ロルフ・トーマン編

[レビュアー] 小池寿子(美術史家・国学院大教授)

 ヨーロッパ主要11カ国125都市の重要な151聖堂・教会を収録した圧巻の写真集。大聖堂とは「司教座(カテドラル)」が置かれた建築を指すが、本書はそれ以外の重要な聖堂の内部装飾や彫刻、祭壇なども高精度の画像で紹介し、キリスト教芸術の神髄を堪能できる。

 カテドラルというとパリ中心の北フランスを想起するが、11章からなる本書ではライン川沿いに始まり、バルト海地域、ザクセン・ボヘミア、アルプス山脈地帯を越えてイタリアへ、そしてパリへと巡り、最後はカタルーニャとイギリスへ。

 まるでヨーロッパを周遊するかのように中世から近現代までの各様式を通して信仰心の結晶が手中のものとなる。建築には工人や資材などの移動があるため、交易ルートや各地の石材によって建築の色も造形の工夫も異なることが分かる。これぞヨーロッパとうなずくこと請け合いだ。文・バルバラ・ボルンゲッサー。忠平美幸訳。(河出書房新社、5478円)

読売新聞
2024年8月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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