『企業ミュージアムへようこそ　上・下』電通ＰＲコンサルティング著

　暑い。外に出ず、オリンピックを見て過ごす。大人はそれでいいが、子どもの夏休みはなんとかしたい。

　とはいえ、どこも混んでいる。ならば近場の企業ミュージアムはどうだろう。

　それは自社のことを伝える究極のオウンドメディアといわれる。宣伝だらけかと身構えるが、そうでもない。社員教育を目的としたものも多く、外向きではない、内に秘められた情熱や本音が溢（あふ）れているからだ。

　日本企業らしく、どこも長い歴史がある。それだけに浮き沈みもあるが、ヒット商品の誕生秘話はもちろん、黒歴史までしっかり展示されているのがいい。

　博物館のように混みあわず、無料のところも多い。それなのにじっくり解説してくれたり、ワークショップを楽しめたり、激レアなおみやげまで手に入る。

　なにより企業ミュージアムは全国各地にあり、その数は二〇〇を超える。本書が紹介するのは三三カ所だが、きっとあなたの街にもあるだろう。

　暑い夏、涼しい企業ミュージアムで狭く深い歴史に浸る。夏の自由研究にもぴったり。なんとも魅力的では。（時事通信社、上１５４０円、下１６５０円）

• 時事通信社
• 清水唯一朗
• 企業ミュージアムへようこそ: PR資産としての魅力と可能性
• 株式会社電通PRコンサルティング

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