『不思議の虫ナナフシ』
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『不思議の虫ナナフシ』海野和男・写真／伊地知英信・文
［レビュアー］ 岡本隆司（歴史学者・早稲田大教授）
「ウンノ」トゲナナフシ。著者の写真家・海(うん)野(の)和男にちなんだ命名である。
子どものころ図鑑でみたナナフシを、実地に見つけて大喜び、不思議な姿態に魅せられた。けれども小枝に似た「擬態の名手」なのだから、通例みつからない。それ以上に追いかける余裕も気力もなかった。
本邦初、大人向けのナナフシ本たる本書は、数(あま)多(た)の貴重な写真で世界のナナフシを堪能できる。幼少からの渇望を癒やしてくれた。
およそ小枝にはみえない、「ナナフシ」の名に似つかわしくない巨大ナナフシもいる。グローバル時代、世界はやっぱり広い。
とはいえ、やはり「ナナフシのポーズ」が定番、日本のナナフシモドキが愛らしい。本書を携え木々のなか、楽しい散歩も増えそうだ。うまく出会えたら指南どおり飼育もしてみたい。（草思社、３１９０円）
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2024年7月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
