「どうやら わしは、しんだらしい」―。自身の葬儀で子供や孫らに見送られ、天国行きのバスに乗り込んだにゃんきち。だが、バスは途中、「てんごくまえデパート」に立ち寄る。ここで天国へ行く準備を整え、やり残したことをするのだという。
フードコートで最期に食べたかったものを食べたり、服を買ったり、髪を切ったり。自分の一生を描いた映画も見て、感激しながら天に向かう。だが、にゃんきちにはまだ何かやり残したことがあるような気もして…。
「死」がテーマの奇想天外な物語だが、心がじんわりと温かくなる。(文研出版・1650円)
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2024年6月30日 掲載
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