『神秘なるオクトパスの世界』サイ・モンゴメリー著

　タコ！　謎めいて魅惑的な生き物、遠くて近い隣人。人間とは住む世界も姿形も生態も全く違うのに、この本を読んでいると不思議と身近に感じてくる。もしやタコは思っているよりずっとわたしたちと近しい、何なら友人にもなれる存在なのではないか。事実、各国の水族館にいるタコには、様々な名前がついている。

　それにしてもその能力の興味深いこと。記憶力、学習能力、自制心を持ち、好奇心旺盛、確実に高い知性があり、道具を使い、異種の動物たちと協力関係を結ぶことすらできる。タコって、もはや人以上の知能がありそう。

　またさすがナショナル　ジオグラフィック、写真も素晴らしい。美しく複雑なその体の構造を存分に堪能できる。巻末にはタコ図鑑もあり、大きさや形も様々なタコを眺めるのも楽しい。

　と、タコの友人としての利点を様々に学べた本書であるが、読み終わった日にタコ焼きを作ってしまった。いや、見てたら、つい……。定木大介訳、池田譲日本語版監修。（日経ナショナル　ジオグラフィック、２５３０円）

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