人間関係をきょうから変える!すぐできる「1分習慣」

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心がほぐれる1分習慣

『心がほぐれる1分習慣』

著者
西上貴志 [著]
出版社
ぱる出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784827214406
発売日
2024/05/27
価格
1,540円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】人間関係をきょうから変える!すぐできる「1分習慣」

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

きょうは月曜日。週明けということで、「会社に行きたくない」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか? そこでご紹介したいのが、『心がほぐれる1分習慣 会社に行くのがツラいときの45のヒント集』(西上貴志 著、ぱる出版)。

私は、精神科医・産業医として、これまでに2万人以上の「心の不調」を抱える人々にお会いしてきました。今回この本でお伝えしたいことは、たくさんの臨床や相談経験の中で実際に効果のあった、誰でもすぐに取り組むことのできる、より良い日々が過ごせるようになる行動習慣についてです。(「はじめに」より)

それらの行動習慣を取り入れることで、「きょうもいい1日だったな」と感じながら眠りにつけるような“小さな幸せ”を感じながら毎日を過ごせるようになるそう。

でも、それはなぜなのでしょうか?

行動の変化自体はたとえ小さなものであっても、その変化が大きな思考の変化をもたらすのです。心のケアは難しく、時間がかかると一般的には言われます。ですが、実際はその回復・改善に向かうきっかけとしての「ほんの小さな変化」がとても重要であり、極論としてはそれだけでも十分なのです。(「はじめに」より)

心の不調の回復過程は、船の舵取りのようなものだと著者は表現しています。適切な回復の道筋が見つかれば、回復方向に進んでいくという意味で。いってみれば、正しい方向を向いていれば、必ず目的地には到着できるということです。

そんな小さなきっかけを紹介した本書のなかから、きょうは人間関係に焦点を当てた2「人間関係をコントロールして居心地の良い職場にするための1分習慣」に注目してみたいと思います。

上司に怒られたときはどうする?

職場においては、ときに上司から叱責されることもあるはず。もちろん、自分に非があるのであれば納得もできるでしょう。しかし、必ずしも自分が原因ではない場合、あるいは原因がこちらにあったとしても落ち度を上回る叱責を受けたりした場合には、当然ながら納得感を得ることは難しくなります。

そして叱責を理不尽に感じてしまうと、場合によっては反論したくもなるもの。とはいえそこで反論すると、さらに相手からの反発を招き、より強い叱責を受ける羽目になりかねません。だとすれば、どうしたらいいのでしょうか? この問いに対しての著者の答えは以下のとおり。

もし反論したい点があったとしてもまずはグッと堪えて、先にあなたに非があったことについて謝ってしまうとよいでしょう。そうするだけで、その後のあなたの気持ちは随分と楽になることでしょう。(55ページより)

謝罪を求めている相手は多くの場合、「自分の思いを汲み取ってほしい」と感じているものでもあります。つまりは、そんな思いに対する理解が求められるわけです。

ところが謝罪が遅れてしまうと、「自分の感情を汲み取っていない」と相手に感じさせるため、問題をよりいっそうこじれさせる可能性があるというのです。

また、こちらが謝罪しようという姿勢をとることで、「なにが問題であったのか」ということについて自分自身が(相手の立場に立って)向き合うことになります。

たとえすべてが自分の一度ではなかったとしても、客観的視点に立ってみれば、自分の感情もスムーズにコントロールできるようになるわけです。

「行動非行動の原則」という法則についてご存知でしょうか? アメリカの心理学者である、トーマス・ギロビッチ博士により提唱された法則であり、「行動して後悔する」ことと「行動しないで後悔する」ことでは、後者の方が後悔の度合いが大きくなる傾向にあるというものです。自分だけの落ち度でなければ、反論したくなる気持ちはもっともだと思います。ただし、反論した後で、「謝っておけばよかった」と後悔したことはないでしょうか?(57ページより)

したがって、謝る余地がある場合には、まずはさっさと謝ってしまう。そうすることが、相手のためだけではなく、自分自身のストレスケアという意味においても有効だというのです。よくなかった点についてまず謝罪すれば、自分が本当に主張したい点もクリアになり、相手により理解されやすくなるかもしれないのだから。(54ページより)

嫌われたくないときにすべきこと

上司や先輩から急に、当日中に仕上げなければならない仕事のヘルプをやってくれないかと頼まれたとします。その時点で自分に余力があるのなら、問題なく依頼を受けることができるでしょう。しかし、自分の業務の進捗に余裕がない場合。そうした依頼にどう対応すべきか悩むことになってしまうかもしれません。

その結果、余裕がないのに断りきれずに引き受けてしまい、あとで頭を抱えることになってしまったなどということはあるものです。しかし、その結果として仕事の質が下がってしまったり、ヘルプの役割もきちんと果たせずに失望させてしまったりしたら、信頼関係にもひびが入ってしまいそうです。

そのため、著者はこう主張するのです。

これまでは、相手の気分を害さないようにと無理な抱え込みをしていたかもしれません。しかしこれからは、嫌われないためにも、あえて自分の意見をはっきりと言うようにしてみましょう。(59〜60ページより)

日本人は自己主張が苦手だといわれますが、自己主張を抑えれば円滑なコミュニケーションが生まれるというわけでもないはず。それどころか自分の本音を隠したままでは、我慢したままコミュニケーションを進めることになってしまいます。

それでは相手との関係性が悪化してしまうかもしれませんし、場合によっては業務の進捗にさえ影響を与えかねません。では、どうすればいいのでしょうか?

方法の1つとして、アサーションと呼ばれる、相手を尊重しつつ、自分の意見を主張するコミュニケーション方法をおすすめします。アサーションの基本的な考え方は、自分に対しても相手に対しても誠実に向き合うことで、適切な自己表現ができるというものです。(61ページより)

まずは自分自身がどうしたいか、なにができるかという主張をすることが、結果的には相手と誠実に向き合うことになるという考え方。そのため、無理のない適切な関係性を構築できるようになっていくわけです。(58ページより)

きょうから変わるために必要なことは、特別な方法を取り入れることではないと著者はいいます。誰でもできる簡単なことを毎日続けるだけでよいのだと。そのための道筋が提示された本書を参考にしながら、毎日をよりよいものにしていきたいものです。

Source: ぱる出版

メディアジーン lifehacker
2024年6月10日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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