『成句・故事成語ではじめる中国史』
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『成句・故事成語ではじめる中国史』山崎覚士著
[レビュアー] 産経新聞社
中国最古の王朝とされる殷(いん)から現代まで、時代を表す成句・故事成語が成立した背景を解説し、中国史を概観。例えば、殷王朝最後の王が酒で池を作り肉を木にかけて林のようにした「酒池肉林」が「贅沢(ぜいたく)を極めた酒宴」を意味するのはなぜか。気候変動で中国大陸が寒冷化して食料確保が難しくなり、希少化した酒や狩猟の獲物が贅沢品となったからだという。
殷王朝より前の夏王朝の実在性に関するコラムなど、近年の研究成果も。大学での講義がもとになっており、読み応えがある。春秋戦国時代の氏族解体や漢代の「豪族」登場など、社会構造の変化もたどる。(法律文化社・3300円)