「外国語」は習慣化がすべて!ほぼ独学で12ヵ国語をマスターした鉄人がやっていること

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法

『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』

著者
Kazu Languages [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
語学/語学総記
ISBN
9784815623654
発売日
2024/04/28
価格
990円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】「外国語」は習慣化がすべて!ほぼ独学で12ヵ国語をマスターした鉄人がやっていること

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「外国語を自由に使えるようになりたいと挑戦してはみたけれど、やがて挫折してしまった」という方も少なくないはず。その結果、外国語の習得は難しいという思いだけが残ってしまったかもしれません。

しかし、それはもったいないこと。「学び方」さえ工夫すれば、決して難しくはなく何語でも、何ヵ国語でも、誰にだって習得できると主張するのは、『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』(Kazu Languages 著、SBクリエイティブ)の著者。日本で生まれ育ちながら、英語から最難関のアラビア語まで12ヵ国語をわずか5年で習得したという人物です。

自身も以前は、外国語を習得するのは難しいと思っていたのだとか。しかし、外国語習得を「勉強」として捉えていたことが問題だったのだと気づいてから変わっていったのだといいます。

当時はひたすら知識を頭に詰め込み、テストで合格点を取ることが目的になっていたそうですが、たしかにそれでは身につかなくても無理はありません(同じ失敗をしてきた方も、きっといらっしゃることでしょう)。

しかし、スペイン語をはじめとする12ヵ国語の習得は、実際に取り組んでみると「勉強」ではありませんでした。自在に使えるようになりたい一心で学び方をゼロから見直したことで、習得までの道のりのすべてがワクワクに満ちたものになりました。(「はじめに」より)

そこで本書においては、外国語を楽しく、かつ効果的に習得するための秘訣を紹介しているわけです。当然ながらそれは実体験に基づくものであり、学校の教科書や語学教材どおりに学ぶ「勉強」とはまったく別のアプローチ。すなわちそれが、本書の決定的なオリジナリティになっているということです。

そんな本書のなかから、「習慣」に焦点を当てた第4章「外国語習得を加速させる習慣術」内の「歯磨きをするように語学を学ぶ――習慣化のコツ」をチェックしてみましょう。根底にあるのは、「外国語習得のためには、あまり上を見すぎず、焦らず、『とにかく、やめないこと』『毎日、その言語に触れること』を意識するべき」だという考え方です。

毎日「決まった時間」に「決まった量」を学習する

継続の最大のコツは習慣化だと、著者は断言しています。朝に顔を洗ったり、歯磨きをするのと同じように、外国語習得を「当たり前の習慣」として組み込むべきだということ。そうすれば、面倒くささを感じることなく、無理をせずに継続できるわけです。

そのためには、1日のうちの「どのタイミングに勉強するのか」を予め決めておくことをおすすめします。

「朝、起きたら顔を洗う」「食後に必ず歯を磨く」というように、習慣はタイミングと密接に結びついています。ですから外国語学習も、「昼休みになったらPimsleurを開く(*)」「通勤中はPodcastを聴く」というようにタイミングを決めておくと、日常生活の中で習慣化しやすいでしょう。(179ページより)

たとえば著者の場合、朝は脳がリフレッシュされていて集中力が高いと感じることから、起床直後を外国語学習の時間としているそうです。

また、1日にどれくらい勉強するかを「時間の長さ」ではなく「量」で決めることも大切です。たとえば、「1日に1レッスンを終わらせる」という具合にです。(179ページより)

「時間の長さ」はわかりやすい目安のようにも思えますが、学習の充実度が高かろうと低かろうと「きょうもクリアした」と見なしてしまうという落とし穴があるのも事実。

「毎日、30分勉強する」といった決め方だと、その30分をダラダラ過ごしてしまうかもしれず、「毎日、勉強時間を確保しているのにぜんぜん上達しない」ということにもなりかねないわけです。

しかし、1日に決まった量を学ぶことにすれば、そうした自体を避けられるはず。「きょうはこのフレーズを覚えた」「この会話文を理解した」「この文法を覚えた」というような達成感を得られることも、継続の推進力になるということです。(178ページより)

*Pimsleur:語学学習アプリ

「やる気」より「環境づくり」が大事

強い意志を持って外国語学種を始めたとしても、当初のモチベーションを維持することはなかなか難しいもの。もちろん、それは著者も同じであるようです。とくに、学び始めて少し経ったころはモチベーションが下がりやすい時期でもあり、そんなとき、いかに一定のペースで学習を進めるかが常に課題となっているというのです。

しかし最終的に、「そもそもモチベーションに頼らないほうがいい」という答えに行き着いたのだといいます。モチベーションは心理的なものであり、人の心理は移り変わるもの。ひとつのかたちにとどめておくことなどできないので、そんな不確かなものに頼ろうとすること自体が難しいのではないかと思い至ったわけです。

飽くことなく外国語学習を続けるには、おそらく「モチベーションの高低にかかわらず、気付いたら今日もちょっとはかどっていた」という現象を起こし続けることが重要なのだと思います。(182ページより)

そのために重要な意味を持つのが、物理的な環境。モチベーションの高低にかかわらずサッと学習に取りかかれるように、「最初の一歩」のハードルが低い環境をつくっておくべきだということです。

そのために私が実践しているのは、「教材をしまいこまずに、すぐに目につくところに置いておく」「学習に使用しているYouTubeチャンネルのページを開きっぱなしにしておく」「音声教材をダウンロードしてすぐに再生できるようにしておく」といったことです。(182〜183ページより)

また、可能な限り「学習中の言語で日常生活を満たす」こと。それがうまく作用すればするほど、習得は早くなります。重要なのは、日々の「遊び」に組み込んでしまうなど、その言語に触れるハードルを極力低くすることです。(184ページより)

難しさや苦しみを伴う習慣は、たいてい長続きしないもの。そこで、日常生活の内部に「その言語が頭のなかにある状態」を可能な限り多くつくるようにする。そうすれば、無理なく習得が早まるわけです。(180ページより)

著者は自身のことを、決して語学の達人ではないと断言しています。ただ単に、いままで12の言語をほぼ独学で習得するなかで、どのような言語でも「このポイントさえ押さえれば、効果的に身につけられる」というコツをつかみ、実践してきただけなのだと。そんな本書で明らかにされているメソッドを取り入れ、外国語習得を身近なものにしたいところです。

Source: SBクリエイティブ

メディアジーン lifehacker
2024年6月8日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク