「進撃の『ガチ中華』」近藤大介著

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進撃の「ガチ中華」 中国を超えた? 激ウマ中華料理店・探訪記

『進撃の「ガチ中華」 中国を超えた? 激ウマ中華料理店・探訪記』

著者
近藤 大介 [著]
出版社
講談社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784065356388
発売日
2024/04/30
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

「進撃の『ガチ中華』」近藤大介著

[レビュアー] 岡本隆司(歴史学者・早稲田大教授)

 西安名物ビアンビアン麺。新大久保の路地裏で出る、本場モノのいわゆる「ガチ中華」だ。

 本書は稀(き)代(だい)の中国ウオッチャーが探訪した、東京の激ウマ中華料理店案内である。お店と料理の背景と中身とお味を語った、ごくフツーのグルメ本。それでも読むからに、メニューがウマそうに見えてくる。失礼ながら著者の数ある中国関連本のなかで、最もおもしろかった。

 ほかにも激辛湖南のスッポンに上海ガニ、蘭州の元祖ラーメンやウイグルの羊肉……。垂涎(すいぜん)のラインナップは、料理そのものの魅力もさることながら、著者の並々ならぬ知見と愛着のたまもの、中国の真実・中華の美味を求める情熱が伝わってくる。

 中華好きな日本人の多くは中国嫌い。逆説めいた説明が成り立つのも、町中華や「ガチ中華」を生み出す日中の間柄ならでは。舌鼓を打ちながら、中国との関係に思いを致す。本書を片手に、そんな夜があってもいい。(講談社、1650円)

読売新聞
2024年6月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

読売新聞

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