『進撃の「ガチ中華」 中国を超えた? 激ウマ中華料理店・探訪記』
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「進撃の『ガチ中華』」近藤大介著
[レビュアー] 岡本隆司(歴史学者・早稲田大教授)
西安名物ビアンビアン麺。新大久保の路地裏で出る、本場モノのいわゆる「ガチ中華」だ。
本書は稀(き)代(だい)の中国ウオッチャーが探訪した、東京の激ウマ中華料理店案内である。お店と料理の背景と中身とお味を語った、ごくフツーのグルメ本。それでも読むからに、メニューがウマそうに見えてくる。失礼ながら著者の数ある中国関連本のなかで、最もおもしろかった。
ほかにも激辛湖南のスッポンに上海ガニ、蘭州の元祖ラーメンやウイグルの羊肉……。垂涎(すいぜん)のラインナップは、料理そのものの魅力もさることながら、著者の並々ならぬ知見と愛着のたまもの、中国の真実・中華の美味を求める情熱が伝わってくる。
中華好きな日本人の多くは中国嫌い。逆説めいた説明が成り立つのも、町中華や「ガチ中華」を生み出す日中の間柄ならでは。舌鼓を打ちながら、中国との関係に思いを致す。本書を片手に、そんな夜があってもいい。(講談社、1650円)