『訟師の中国史』夫馬進著

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訟師の中国史

『訟師の中国史』

著者
夫馬 進 [著]
出版社
筑摩書房
ジャンル
歴史・地理/外国歴史
ISBN
9784480017956
発売日
2024/04/17
価格
2,090円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『訟師の中国史』夫馬進著

[レビュアー] 産経新聞社

訟師(しょうし)とは、宋代から清代までの中国で訴訟しようとする人々を助けた者。近代化が始まる前の中国は、訴訟が盛んだったという。

本書は訴訟社会の実態を明らかにしたもの。訟師の仕事ぶりが興味深い。例えば明・清時代の訟師は、訴状の受理請負人。「デタラメなところがなければ訴状にならない」といわれ、訟師は一人も殺されていない土地争いの表題を「一網打尽に殺された一件」とするなど訴状を目立つようにした。「掠奪して殺した」「むごたらしく殺された」など、どぎつい表現がマニュアル本に満載されていたそうだ。欧州やイスラム世界の法廷との比較も。(筑摩選書・2090円)

産経新聞
2024年6月2日号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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