『ときを感じる　お宿図鑑』吉宮晴紀著

　文化財になっているような古き良き旅館の建物にひかれ、「時を感じる宿に泊まろう～ときやど」というサイトを作り上げた建築を学ぶ大学院生が、サイトで紹介した宿から厳選した５１軒の情報をまとめた。

　昭和初期や大正時代だけでなく、重要文化財に指定された萬翠楼福住（ばんすいろうふくずみ）（神奈川県）を始めとする明治時代に建てられた建物や、安政５年（１８５８年）築の「松の間」に今も泊まれるという北温泉旅館（栃木県）などの江戸時代に建てられた宿も登場する。

　特徴的なのは、スケッチで魅力を紹介している点。「かずかずの銘木に和洋の美しい意匠、とても描ききれない！！」などのメモには著者の思いが溢（あふ）れている。

　全てのサービスがそろった同じようなホテルが普及しつつある中、長い歴史を誇る宿たちが個性豊かな文化を保ち続け、「いまだに見られるどころか宿泊、体験までできるのは、奇跡的」という著者の言葉をかみしめたい。（学芸出版社、２２００円）（十）

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• ときを感じる　お宿図鑑: スケッチで巡るレトロ建築ガイド
• ときやど　吉宮晴紀

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