ものが売れないと悩んだら、まずは相手の不安を取り除くことからはじめる!

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不安がなくなるとモノが売れる

『不安がなくなるとモノが売れる』

著者
岡本 達彦 [著]
出版社
総合法令出版
ジャンル
社会科学/社会科学総記
ISBN
9784862809452
発売日
2024/04/12
価格
1,650円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】ものが売れないと悩んだら、まずは相手の不安を取り除くことからはじめる!

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

不安がなくなるとモノが売れる』(岡本達彦 著、総合法令出版)の著者は販促コンサルタント。広告制作会社勤務時代に培った販促展開のノウハウをベースに、“アンケートから売れる広告をつくる広告作成手法”を体系化したのだそうです。

そんな著者は、「よい商品・サービスを売っているにもかかわらず、売り上げが伸びない、商品が売れない」と悩んでいる店主や経営者には共通点があると指摘しています。それは、お客様が持っている「不安」を見落としているということ。

お客様の不安の根源は、「自分の大切なお金を使って、あなたの商品を購入する」というところにあるのです。

言い換えると、自分の大切なお金を使うわけですから、その大切なお金が本当に価値あるものに使えたのか、ということを商品を手にするまでお客様は、問い続けるのです。

このため、あなたが商品を紹介するために用意したものすべてに不安を感じる可能性がある、ということです。(「プロローグ なぜ、あなたの商品が売れないのか?」より)

同じ価格で同じ効能のAとB、2つの商品があるとしましょう。単純に考えればどちらを選んでも同じだということになりますが、両者には違いがあります。Aには使い方や購入方法の説明、返金保証までがついてくるのですが、Bにはそれらがまったくないのです。だとすれば、大半の人がAを選ぶのは当然の話。 

この積み重ねが売り上げに影響してくるのです。売れないと嘆いている会社やお店に限って、説明不足だったり、不安を取り除く表現が少なかったりするのです。(「プロローグ なぜ、あなたの商品が売れないのか?」より)

そのため本書において著者は、消費者が購入前に感じるさまざまな不安や疑問の詳細に焦点を当て、それらを克服して顧客の信頼を築いていくためのメソッドを紹介しているのです。

きょうは第2章「お客様の不安を取り除く方法」のなかから、「不安を取り除くための5つのステップ」に注目してみましょう。

第1のステップ 不安の原因を特定する

不安を取り除く第1のステップは、不安の原因の特定です。お客様が何に対して不安を感じているのかを理解することが重要です。(68ページより)

そのために必要なのは、どのようなことに不安を感じているのかについて、お客様の声を収集すること。具体的にはアンケート、レビュー、直接のカスタマーサポートを通じ、お客様が抱えている不安の実態を把握するわけです。

フィンランドのトゥルク大学のマシュー・ハドソン博士らの研究では、不安が長時間続くほど、周囲の状況を深く観察するように脳が活動するという研究結果も発表されています。(70ページより)

脳に不安を感じれば感じるほど、お客様の期待値は下がっていく可能性があります。だからこそ、お客様を不安にさせないことが重要なポイントになってくるということです。(68ページより)

第2のステップ 不安の原因を分析する

第2のステップは、不安の原因を分析すること。根本原因を理解すれば、より効果的な解決策を見つけることが可能になるからです。たとえば製品の品質に関する不安であれば、製造プロセスの見なおしや品質管理の強化が必要かもしれません。サービスに対する不安なら、お客様サポートの改善や情報提供の方法を見なおす必要性が生じてくることでしょう。(71ページより)

第3のステップ 不安解消策を考える

第3のステップは、不安解消策を考えること。お客様の不安を解消するために重要なのは、“問題を解決するのではなく、お客様が不安に感じているその原因を解消する”こと。

一見するとデメリットに見えることであっても、ていねいに説明することでお客様の不安を取り除くことはできるのです。

例えば、賃貸物件で狭い部屋なので、収納家具をセットにした状態で紹介したところ、お客様の不安は解消されました。

また、熟練の職人がふすまや障子を張り替えるわけではないけれども、地元密着の顔が見える担当者が丁寧に仕上げることを説明したら、お客様の不安は払拭され、問い合わせが増えています。(71〜72ページより)

このように具体的で実行可能な解決策であれば、お客様の不安は解消できるということです。(71ページより)

第4のステップ 不安解消策の実行

第4のステップとして著者が挙げているのは不安解消策の実行ですが、ここで大切なのは迅速な行動。解消策を立てても、それを実行しなければ意味がないからです。また不安解消策の実行は、お客様に対する企業の誠実さを示す機会であるともいえそうです。(72ページより)

第5のステップ 不安解消策の効果の評価、調整

第5のステップは、不安解消策の効果を評価し、必要に応じて調整すること。

不安解消策が実際に不安を解消できているのかを確認するために必要なのは、改めてお客様の声をフィードバックすること。その結果、効果が十分でないことがわかった場合には、不安解消策を見なおし、改善する必要があるわけです。

お客様の不安を取り除くことで、お客様との間に信頼関係を構築することができます。この積み重ねが、ビジネスを長く続ける上で重要になるのです。そのためには信頼を一つひとつ丁寧に築くことです。信頼は時間をかけて構築されるもので、一貫した品質の提供、透明なコミュニケーション、誠実なお客様サービスを通じて築かれます。(70〜71ページより)

不安を払拭し、信頼関係を築くことができれば、お客様はお得意様になります。そして、そうした固定客がいれば、安定した売り上げがもたらされるだけでなく、口コミなどを通じて新たなお客様が集まってくる可能性も高くなるということです。(73ページより)

お客様の不安を取り除くことができれば、著者がいうように“モノが売れる状態”に近づくことができそうです。“売れない不安”を抱えている方は、本書を手に取ってみてはいかがでしょうか?

Source: 総合法令出版

メディアジーン lifehacker
2024年5月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

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