「解像度の高い人」にはどんな世界が見えているのか?具体と抽象のピラミッドとは

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「解像度が高い人」がすべてを手に入れる

『「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』

著者
権藤 悠 [著]
出版社
SBクリエイティブ
ジャンル
社会科学/経営
ISBN
9784815624538
発売日
2024/03/02
価格
1,760円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

【毎日書評】「解像度の高い人」にはどんな世界が見えているのか?具体と抽象のピラミッドとは

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

「解像度が高い人」がすべてを手に入れる』(権藤 悠 著、SBクリエイティブ)の著者は、経営コンサルタントとして約3000社を担当し、のべ1万人以上のビジネスパーソンを見てきたという人物。そんな経験から、「仕事ができる人」には共通点があることを実感しているのだそうです。

それは、「解像度が高い」という点。「解像度が高い人」は思考が鮮明で、物事の細部までをきれいに明確に見ているというのです。

例えば、営業などであれば、「解像度が高い人」は顧客のことを事細かに捉えています。お客さんは何歳くらいで、普段はどんな生活を送っていて、どんな服を着ているのか。どんな場面で、どんな困りごとを持っていて、そのために普段はどんな競合の製品・サービスを利用しているのか。特定の一人が浮かび上がってくるほどに、「物事が細かく見えている」のが特徴です。(「はじめに」より)

また、「ユニークで鋭い洞察を得ている」という側面もあるそう。

本質を突いた「自分なりの気づき」を豊富に持っているため、新しく納得感のある意見や提案をできるということ。そして「物事をわかりやすく伝えられる」ため、相手の理解度に合わせて使うことばや話を調整できるという特徴も。そのため専門的な話であったとしても、相手は容易に理解できるわけです。

同じものを見ていても、解像度が違えば“見ている世界”もまるで違ってきます。つまり、「仕事ができる人」とそうでない人が“見ている世界”は、「解像度の高さ」によって決まってくるのです。(「はじめに」より)

だとしたら、ぜひとも「解像度の高い人」を目指したいところ。そこできょうは第2章「どうしたら解像度は高まるのか?」のなかから「どうしたら『解像度が高い人』になれるのか?」に焦点を当ててみたいと思います。

メソッド1 どうしたら「物事が細かく見える」のか?

「解像度の高い人」の1つ目の特徴は、「物事が細かく見えている」状態になること。そのためには、「具体化思考力」を鍛えることが重要なのだそうです。ここでいう具体化とは、「ひとつの事柄や概念を、違うもので分ける」こと。

例として、「日本」を頂点とするピラミッドについて考えてみましょう。

「日本」を「地理」と捉えて具体化していけば、その1つ下の2階層目は、例えば「東日本」「西日本」に2分割されます。

2つ下の3階層目では、「東日本」を細分化して「関東甲信越」「東北」「東海」「北海道」となり、3つ下の4階層目では「関東甲信越」をさらに細分化して「東京都」「埼玉県」「千葉県」「神奈川県」「群馬県」「栃木県」……などとなり、4つ下の5階層目になると「東京都」は「23区」「26市」「5町」「8村」となり、どんどん細分化されていきます。(84〜85ページより)

つまり「具体化する」とは、ひとつの大きな概念を階層化・細分化していくことを指すわけです。具体化とは、「似たもの同士に違いをつける」ということであり、それがまさしく「物事を細かく見る」ということ。(82ページより)

メソッド2 どうしたら「ユニークで鋭い洞察を得られる」のか?

「解像度の高い人」の2つ目の特徴は、「ユニークで鋭い洞察力を得ている」状態になること。そうなるためには、「抽象化思考力」を鍛えることが必要になるといいます。

しかし、そもそも「抽象化」とはなんなのでしょうか?

「具体」と「抽象」は反対の概念です。ですから、「抽象化」は「具体化」の逆、ピラミッドを上に上がる作業が「抽象化」です。

先ほどの「日本」の「地理」の事例をそのまま逆転すればわかりやすいでしょう。

例えば、あなたが東京駅にいるとします。東京駅の周辺には丸の内、大手町、「有楽町などの「千代田区」と、日本橋、八重洲、京橋などの「中央区」があり、さらに1階層上がれば「23区」、以下「東京都」→「関東甲信越」→「東日本」→「日本」とどんどん範囲が広がっていきます。(90ページより)

軸になっているのは、「違うもの同士の共通点を見つける」こと。「東京都」「埼玉県」「千葉県」の共通点は「関東甲信越」であり、「関東甲信越」「東北」「東海」北海道」の共通点は「東日本」。そして「東日本」「西日本」の共通点が「日本」です。

このように、共通点を見つけることで上へ上へと思考レベルが上がっていくということ。そして、そうやってピラミッドの頂点までを形成していく営みが「抽象化」であるわけです。(89ページより)

メソッド3 どうしたら「物事をわかりやすく伝えられる」のか?

「解像度の高い人」の3つ目の特徴である「物事をわかりやすく伝えられる」状態になるためには、「具体⇆抽象思考力」を鍛えることが求められるといいます。ちなみに「具体⇆抽象思考」とは、ピラミッドを上に行ったり下に行ったりして「具体」と「抽象」を行き来すること。

繰り返しになりますが、ピラミッドでは頂点がもっとも抽象的な「抽象度100%」、底辺がもっとも具体的な「具体度100%」となっています。そして「具体化思考」は底辺に向かって掘り下げていく思考であり、「抽象化思考」は頂点に向かって組み上げていく思考です。

対して「具体⇆抽象思考」とは、この頂点と底辺の間を行き来する思考のこと。たとえばコミュニケーションにあてはめた場合、相手の「具体⇆抽象レベル」に合わない話をした場合、こちらの意図は相手には伝わらないと著者は述べています。

コミュニケーションがうまくいかない場合、原因を「伝え方」「言い方」の問題と捉えて、いわゆる「話し方教室」などで学ぼうとする人がいます。しかし、残念ながら、たいていの教室ではあなたの悩みは解決しません。

なぜなら、コミュニケーション・ギャップが起きてしまう原因の多くは、相手との「具体⇆抽象レベル」の違いだからです。「具体的な話が理解しやすい人」に「抽象的な話」をしたり、逆に「抽象的な話が理解しやすい人」に「具体的な話」をしたりすると、相手は理解ができず、コミュニケーションにストレスが生じます。(97〜98ページより)

つまり「物事をわかりやすく伝えられる」ということは、「『具体⇆抽象レベル』を相手と合わせる」ことだというわけです。(95ページより)

こうした考え方に基づいて、本書では「解像度が高い人」になるための思考力をわかりやすく解説しています。それらを通じてスキルをしっかりと身につければ、「仕事ができる人」として次のレベルに到達できるようになるかもしれません。

Source: SBクリエイティブ

メディアジーン lifehacker
2024年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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