『先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す[1日3分!]最強時間術』
- 著者
- jMatsuzaki [著]/佐々木 正悟 [著]
- 出版社
- 技術評論社
- ジャンル
- 社会科学/社会
- ISBN
- 9784297139957
- 発売日
- 2024/02/24
- 価格
- 1,760円(税込)
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【毎日書評】毎日できないから抜け出す!最強の時間術「タスクシュート」を実践する
[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)
毎日仕事を進めるなかでは、多くの方が「時間がない」と焦り、そして時間の経過の速さに恐れを感じているのではないでしょうか?
「それは、未来に生きてしまっているからです」と答えるのは、『先送り0(ゼロ)―「今日もできなかった」から抜け出す1日3分!最強時間術』(jMatsuzaki、佐々木正悟 著、技術評論社)の著者。
将来をイメージしたり、理想的な未来を思い描いたり、目標や計画を立てたりして未来に生きているからこそ、「時間がない」という信念と恐怖に苛まれるようになるというのです。
だとすれば、現在に生きればいいということになるはず。
現在に生きているかぎり時間はあります。時間はけっしてなくなりません。時間は豊かです。まずこれを信じることがすべての起点となります。(「序章 時間に追われ、先送り癖に悩まされている人へ」より)
こうした考え方の基盤になっているのは、本書の中核をなす「タスクシュート」というメソッド。それは先送り癖の解消を目指すものであり、本書の内容を実践すれば、先送り癖の解消を超えた価値を認められるかもしれないと著者は述べています。
事実、著者はタスクシュートを世に広めるなかで、「人生が変わった」という多くの声に出会ったのだとか。
しかし、そもそもタスクシュートとはどのようなものなのでしょうか? その点を明らかにするために、第2章「先送りゼロを支えるメソッド『タスクシュート』に注目してみたいと思います。
日本初のメソッド「タスクシュート」とはなにか?
著者によればタスクシュートは、タスクと時間を同時に管理できるたぐいまれなメソッドなのだそう。開発されて以来15年以上の歴史を持ち、国内を中心に長く愛されてきたのだといいます。
その特徴は、やることを整理するのではなく、タスクの実行にフォーカスするという点。
一般的なタスク管理のメソッドは、抱えている仕事を整理することを勧めるものです。やるべきことを洗い出し、整理して、優先順位をつけ、次にやることを可視化しようというように。しかし、それらのプロセスに手間や時間を割いても、仕事は進まないというのです。
タスクシュートは次にやることを明確にするだけでなく、それをいつ、どのタイミングでやればよいのかを見極めるところまでカバーします。
「整理」ではなく「実行」を後押しするのです。(中略)毎日「できたこと」を1つずつ積み重ねながら、少しずつ「できること」を増やしていく、地に足のついた手法です。(88ページより)
そのためタスクシュートは、「先送りゼロの習慣」と非常に相性がいいのだといいます。加えて、長く続けられるメソッドでもあるようで、ユーザーからは一生ものと確信して継続を決めたという声もあるそう。(86ページより)
タスクシュートを構成する3要素「タスクシュート・サイクル」
タスクシュートは3つのオブジェクトと、それらをつなぐ3つのプロセスからなる流れによって表現することが可能。
3つのオブジェクト
・プラン:きょうやること
・ログ:きょうやったことの実績
・ルーチン:明日以降も繰り返しやること
(90ページより)
3つのプロセス
・先送りゼロ:プランにすべて「着手すること」を目指してログを記録する
・レビュー:ログを振り返ってルーチンを追加・修正・削除する
・シミュレーション:その日ごとにルーチンを取捨選択し、新たなプランとする
(90ページより)
円を描くようにこれらのサイクルを回っていくことが、タスクシュートの実践だということ。プランがログになり、ログからルーチンが生まれ、ルーチンはまたプランになるというイメージです。
1.きょうやることの「プラン」
タスクシュートでいう「プラン」は、1日という制約のある計画。1日分のやることを書き出しておき、できる限り実行する順に並べるようにするのです。そうすれば現実的なプランを立てることができ、そのためタスクをどんどん実行していくことができるわけです。
2.きょうやったことの「ログ」
一般的なタスク管理のメソッドでは、「タスクを終了したらチェックを入れて終わり」となるはず。一方、開始時刻と終了時刻を実績として記録するのがタスクシュートのやり方。そうすれば、やったことをより有意義だと感じることができるわけです。
3.明日以降も繰り返しやる「ルーチン」
きょう1日のプランをつくり、実行したらログが記録されます。さらに、明日以降も繰り返し実行するタスクはルーチンとして扱うことが重要。ログをもとにルーチン化するのも、タスクシュートの大きな約束だということです。
多くの習慣化のためのメソッドや、それに基づいたツールでは、日課としてやることをまず登録します。しかし、それではやはり理想と現実の区別がつかない罠に陥り、気づかぬうちに背伸びした日課を描いてしまって破綻しがちです。
タスクシュートではルーチンをいきなり登録するのではなく、ログをもとにルーチンを作ります。いつどのようなタイミングで、どのくらいの時間をかけたかの実績からルーチンを作るのです。だからこそ、現実的なプランを毎日のように生成できるわけです。(90〜91ページより)
つまりタスクシュートは、「プラン」「ログ」「ルーチン」の3つを循環させた結果として、大きな成果を上げる方法であるということです。(89ページより)
読者の困りごとを解消するために書いたというだけに、とても実用的な内容になっているところが本書の魅力。書かれていることを理解して実践するだけで、自然と効果が望めるだろうと著者は太鼓判を押しています。時間の有効活用に悩んでいる方は、参考にしてみてはいかがでしょうか?
Source: 技術評論社