「蛭子さんが忘れても…」アンガ田中が救われた蛭子能収の言葉とは? 8年ぶりの対話が実現

対談・鼎談

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ちょっと不運なほうが生活は楽しい

『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』

著者
田中 卓志 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784103552819
発売日
2023/08/31
価格
1,595円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

誰かが笑ってくれるなら

[文] 新潮社

蛭子 俺は新しいことを描くのが好き。

田中 その場で思いついたことを筆が進むままに描いていた、ということですね。天才だなぁ。

蛭子 ……すみません、なんか大袈裟に言っちゃったかも。

田中 すぐ否定した!(笑)。アイディアが出ない時もありました?

蛭子 うん、ほとんどって言っていいくらい。

田中 ほとんど!(笑)。締め切りが近づいて追い込まれたら何か出る、という感じですか?

蛭子 そうでした。

田中 描くこと自体は楽しかったですか?

蛭子 楽しいです、やっぱり。そう、楽しいんですけど、急に笑わせないといけないから……。適当にはやれない。

田中 なるほど。蛭子さんの場合、ギャグの要素を入れるから、そこはきちんとやらないといけない、と。今度、「最後の展覧会」という絵の個展もやられますよね(編集部注・AKIO NAGASAWA Gallery AOYAMAにて、9月30日までの開催)。全点新作と伺って、蛭子さんがまだ絵を描かれているということが、僕はすごく嬉しくて。

蛭子 ありがとうございます、本当に喜ぶと思います。

田中 急に他人事じゃないですか(笑)。

蛭子 (田中さんの本のカバーを指さしながら)これはいいですね。

田中 イラストレーターさんにヤンキーの絵を描いて頂いて、僕の写真と合成したんです。イラストで、僕の写真に「汗」が足されているのがいいでしょう? 汗は蛭子さんの漫画にもよく出てきますよね。

蛭子 汗は簡単だから……。

田中 そうそう! 「汗を描けば感情が一発で伝わるから」って以前もおっしゃっていました。

蛭子 楽しそうですね~。

田中 え、楽しそう? 電車で居眠りしたヤンキーが、僕の肩にもたれかかってきちゃっているのに!?

蛭子 そうかそうか、ごめんなさい(笑)。

田中 汗の意味が伝わってないじゃないですか(笑)。

新潮社 波
2023年10月号 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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