『ちょっと不運なほうが生活は楽しい』
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誰かが笑ってくれるなら
[文] 新潮社
田中 何もかも楽しくなく、精神的に追い詰められていた時に、雑誌の企画で蛭子さんと対談させて頂いたんです。もともと蛭子さんの漫画が大好きだったので、僕から希望させてもらって。
蛭子 ああー。
田中 それで対談の最後に当時のその悩みを相談したら、蛭子さんが、昔、同時期に漫画の連載をしていた競艇雑誌と大人向け雑誌の締め切りが両方ギリギリだった時、慌てて原稿を送ったら、競艇の方に大人向け漫画を、大人向けの方に競艇漫画を送っちゃってて、あとで気が付いて焦ったんだけど、両方ともそのまま掲載されたことがあったって。
蛭子 へへへへ(笑)。
田中 だから、田中君もテレビでスベることを気にしているけれど、そもそも世の中の人はそんなに田中君のことを見ていないから大丈夫、って言って下さったんです。テレビに出るたびにスベって、情けない姿を全国民に見られている……なんて、僕が思い込んでいただけだったと、蛭子さんのそのお話に気持ちがぐっと楽になりました。
蛭子 それは良かった。
田中 それからは、とりあえず目の前のことをしっかりやろうと無心になれて、仕事も少しずつ楽しめるようになって……。蛭子さんの言葉がなかったら、芸人をやめていたかもしれません。
蛭子 そうだったんですね。でも、お金とかは全然、要求しないですから。
田中 あはははは! 要求されたら払いますよ(笑)。それくらい、蛭子さんには助けて頂きました。今日のこの対談の謝礼もちゃんと払いますからね。
蛭子 いやいや、そこまでしてもらわなくてもいいですよ。
田中 今日はぜひもらって下さい(笑)。