『哲学で抵抗する』
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【気になる!】新書 『哲学で抵抗する』
[レビュアー] 産経新聞社
哲学と聞くと、その膨大な歴史と難解さを前に尻込みしがちだ。でも決して一部の知的エリートに独占された営みではないという。
哲学を「概念を云々することで世界の認識を更新する知的な抵抗である」と定義する著者が、「抵抗」をキーワードに身近で奥深い世界へと誘う。イタリアのルキーノ・ヴィスコンティ監督の映画に見る漁民の反抗。米作家カート・ヴォネガットの小説に頻出する「そういうものだ」という諦めの裏にある運命論への抵抗…。哲学書の外にも世界の見方を変える哲学はあふれている。平明な語り口で日常と哲学を結ぶ入門書。(高桑和巳著/集英社新書・902円)