『魂の痕(きずあと)』
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『魂の痕(きずあと)』梁石日著
[レビュアー] 産経新聞社
日本統治時代の朝鮮・済州島。夢見る少女の春玉は、10歳にも満たない年下の夫と結婚させられるが、婚家を逃げ出して大阪へ向かう。ところが、女子工員として働く紡績工場の朝鮮人所長に乱暴され、妊娠。幼子を抱えて飲食店に勤める春玉の前に、金俊平という巨漢の客が現れる。無理やり妻にさせられた春玉は夫の暴力と放蕩(ほうとう)に悩まされながらも俊平の姿に故郷への愛憎を重ねていく…。
著者の実の母親をモデルに、日本統治時代の在日コリアンの生活がリアルに描かれる。ビートたけし主演で映画にもなった名作「血と骨」と対をなす物語。(河出書房新社・1800円+税)