「いやもう、刺さる刺さる!知りたくなかった真実を引きずり出された!」婚活をめぐるミステリ『傲慢と善良』の「言葉の波状攻撃」にやられた藤ヶ谷太輔・奈緒の映画版も話題[文庫ベストセラー]

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10月8日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『透明な螺旋』が獲得した。
第2位は『傲慢と善良』。第3位は『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』となった。

2位の『傲慢と善良』は辻村深月さんが2019年に発表した恋愛ミステリの文庫版。アプリで知り合った坂庭真実と付き合う主人公の西澤架。真実がストーカーに狙われていると告白し、架は婚約を決意する。ところが真実は突然姿を消す。真実を探し過去をたどる架の前に、「婚活」のもつ残酷な意味が浮かび上がる。9月27日に映画版が公開されこちらも話題に。映画では架を藤ヶ谷太輔さん、真実を奈緒さんが演じた。

書評家の大矢博子さんは同作と映画版の違いについて《原作が「婚約者の失踪の陰には何があったのか」を関係者への聞き取りを通して解いていくというミステリ仕立てなのに対して、映画は原作の第1部と第2部(編集部注:失踪した真実の行方を描くパート)をほぼ同時進行で描くことで謎解きの度合いを減らし、より恋愛ドラマに特化した作りになっていた。》と紹介。原作では人が人を選ぶという婚活がはらむ、人が見ないようにしている心の機微が言葉でしっかりと説明されるため、《いやもう、刺さる刺さる!殴られる殴られる!》と「言葉の波状攻撃」に殴られるほどの衝撃があったと解説している。

1位『透明な螺旋』東野圭吾[著](文藝春秋)

誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密 南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。同時に、男の行方不明者届を出していた同居人の女が行方をくらませた。捜査にあたった草薙と内海薫はその過程で、思いがけず湯川学の名前に行きつく。草薙はすぐさま湯川の元を訪れたが、彼はそこ、横須賀のマンションで意外な生活を送っていた――。巻末に短篇「重命る(かさなる)」を特別収録。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『傲慢と善良』辻村深月[著](朝日新聞出版)

婚約者・坂庭真実が姿を消した。その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。「恋愛だけでなく生きていくうえでのあらゆる悩みに答えてくれる物語」と読者から圧倒的な支持を得た作品が遂に文庫化。《解説・朝井リョウ》(朝日新聞出版ウェブサイトより)

3位『猛毒のプリズン 天久鷹央の事件カルテ』知念実希人[著](実業之日本社)

長野県の山奥に聳え立つ洋館、 九頭龍邸に招かれた天久鷹央。 そこで彼女を待っていたのは、計算機工学の天才、九頭龍零心朗からの「最後の依頼」だった。 だが、捜査を開始し間もなく、とある 「殺人」が起き、事態は混迷を極めていく。 浮かび上がる容疑者たちと、連鎖する事件。 そして最後に嫌疑がかかったのは、まさかの…? 現役医師が描く本格医療ミステリー、書き下ろし長編!(実業之日本社ウェブサイトより)

4位『傷痕のメッセージ』知念実希人[著](KADOKAWA)

5位『百年の孤独』G.ガルシア=マルケス[著]鼓直[訳](新潮社)

6位『母の待つ里』浅田次郎[著](新潮社)

7位『仮面』伊岡瞬[著](KADOKAWA)

8位『地面師たち』新庄耕[著](集英社)

9位『赤と青のガウン オックスフォード留学記』彬子女王[著](PHP研究所)

10位『救いたくない命―俺たちは神じゃない2―』中山祐次郎[著](新潮社)

〈文庫ランキング 10月8日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年10月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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