「本土の人を面倒くさいなぁと感じる」マーガリンをバターと呼んでも平気な“沖縄人”の本音とは?

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バターと呼んでいるものの多くが、植物性のマーガリン(Image by photoAC)

 沖縄の県民性を表すことの一つに沖縄タイム(ウチナータイム)がある。

 約束の時間に遅れる、または来ないこともあり、日本本土とは異なる独特の時間感覚を持っていることで知られている。

 こうした沖縄独自の慣習「沖縄ルール」を紹介しているのが、本土企業の沖縄進出をお手伝いしている伊波貢さんだ。

 なぜ、「15時ぐらい」で15時40分に来るのか? なぜ、お客様の前で社内事情をぶっちゃけるのか? なぜ、昇給・昇格を打診すると退職するのか? なぜ、主賓が来る前から飲み始めるのか?

 こうした沖縄の慣習をまとめた伊波さんの著書『沖縄ルール 知っておくとビジネスも人間関係もうまくいく!』(あさ出版)から、沖縄タイムとは別のゆるい県民性を紹介する。

細かな違いを気にしないのが沖縄人気質

 沖縄では、食堂で「バターごはん」なるメニューが存在するなど、アメリカ文化の影響もあってバターをよく使用します。しかし、沖縄の人がバターと呼んでいるものの多くが、植物性のマーガリンだったりします。さすがに近年ではスーパーでも本物のバターを目にすることが増えましたが、少し前までは黄色いパッケージの「ホリデーマーガリン」が沖縄のバター界の主役でした。

 また、特に年配の方と話をしていると、例えば孫が保育園や幼稚園に行くことを、「学校に行っている」などと表現されます。保育園も小学校も区別がなく、一緒くたに学校と呼んでいるのです。

 ちなみに、沖縄では米軍統治下時代の名残で小学校に隣接して幼稚園が設置されている場合が多く、5歳児がプレスクール的に幼稚園に通うケースが多かったようです。

 そして、食べ物も、同じ日本語の料理名でもかなり異なることがあります。例えば、沖縄の食堂で見られる「味噌汁」というメニューは、もはやおかずです。本土では小さな椀でご飯の横に添えられるのが一般的でしょうが、沖縄では、どんぶりに盛り付けられ、ポークや卵、豆腐やレタスなど、ボリューミーで具だくさんな料理を「味噌汁」と言います。お酒を飲んだ翌日の身体に優しいメニューとしても重宝されているのです。

 これらの言葉や表現の違いを本土の人たちによく指摘されるわけですが、肝心の沖縄の人にとっては今ひとつピンとこないようです。「どちらでも良いのではないか」「どうして細かいことを言うのだろうか」が沖縄の人の本音です。

中分類程度で区別しがちなのが沖縄流

 また、本土の人と話をしていて面倒くさいなぁと感じるのは言葉の定義にとてもこだわる点です。

 例えば、「ポークたまごおにぎり」はソウルフードか否か論争がありました。ソウルフードとは、アフリカ系アメリカ人の伝統料理に端を発し、地域の日常食生活で欠かせない料理と解釈されるため、ポークたまごおにぎりはこれには該当しないというわけです。しかし、Yahoo!で「ポークたまごおにぎりソウルフード」と検索すると約27万件もの結果が表示されます。県民の感覚として、ポークたまごおにぎりは、ソウルフードといっても違和感がないほど、しっかり市民権を得ているのではないかと思います。


中分類程度で区別しがちなのが沖縄流

 こうした違いは、小分類で定義分けをして商品などを区別したがる本土の人と、中分類程度で考えて大きく間違っていなければ許容できる沖縄の県民性に由来するのではないでしょうか。

 アバウト感の振れ幅の違いもあるが、多少の不正確な表現ぐらいでは気持ち悪さを感じることがないというのは、ある意味特技でしょう。沖縄で言葉の定義に小うるさいと嫌われるので、要注意です。


本土の人が理解しづらい「沖縄ルール」とは(Image by photoAC)

伊波貢(沖縄進出コンサルタント)
沖縄進出コンサルタント ブルームーンパートナーズ株式会社代表取締役/CEO。1967年沖縄県生まれ。琉球大学経済学科卒業。沖縄県内初の証券アナリスト。株式会社コスモ証券経済研究所を経て、1996年4月に株式会社沖縄海邦銀行へ転職。その後、株式会社海邦総研の設立に携わり、設立とともに取締役経営企画部長に就任。約11年間にわたり経営に関与する。2015年1月に独立し、現職。沖縄地域経済・産業に関する研究をフィールドワークとしつつ、国や県および、自治体からの各種調査(観光・地域資源・経済波及効果調査など)業務を受託。公的機関支援事業の各種委員、審査員を兼任。地域経済・産業活動のコメンテーターとして新聞、テレビ、ラジオなどにも出演。著書に県内でヒットした『おきなわデータ算歩』(沖縄タイムス社)。琉球王国を建国した尚巴志王の末裔。

あさ出版
2024年10月17日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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