第102代総理大臣となった石破茂氏は、読書家としても知られる。週に1回は八重洲ブックセンターに行くのがルーティーンになっている、とかつて語っていた。
犬猿の仲とされた麻生太郎元総理はマンガ好きとして知られていたので、ここでもあまり気が合わなかったのかもしれない。マンガしか読まないとか、国際政治を「ゴルゴ13」で学んでいるといった話がまことしやかに伝えられる麻生氏と、同僚との酒席よりも一人で本を読んで勉強する時間を重視するという石破氏が相容れないというのは実にわかりやすい。
実際に、石破氏の本棚を覗いてみると、安全保障関連の本が圧倒的に多いものの、一部にマンガやノンフィクション、趣味の鉄道関連書籍などもチラホラ見える。
読む本のジャンルはさらに幅広いようだ。以前、コロナ禍における「おうち時間」を使って読む本、読み返そうと思っている本を問われた際に挙げた書名は以下の通り。
『国家安全保障の政治経済学』(吉原恒雄)、『パンデミックとたたかう』(押谷仁・瀬名秀明)、『国家権力の解剖 軍隊と警察』(色摩力夫)、『軍事法廷 戦時下の知られざる「裁判」』(北博昭)、『アメリカ大統領選 勝負の分かれ目』(大石格)、『知られざる潜水艦の秘密』(柿谷哲也)。
いかにもお勉強用という本ばかりだったため、インタビュアーが、「硬い本ばかりですね」と突っ込むと、次の様にも語っている。
「いやいやそんなことはないですよ。いい機会だから久しぶりに三島由紀夫を読み直そうとしていて、これは楽しみなんですよ。『豊饒の海』4部作、『午後の曳航』『女神』『美徳のよろめき』……『豊饒の海』は結構しんどいけれど、『美徳のよろめき』あたりはワクワクしますね」
さらに「若者、例えば大学生にお薦めしたい本などはありますか?」との問いには、
「うーん、どうでしょう。自分自身、法学部の学生だったので、法律書とかばかり読んでいたから……でも先ほど言った三島はよく読んでいました。
あとは井上靖、川端康成、五木寛之……五木さんは全部読んでいましたね。
井上靖ならば『天平の甍』もいいけれど『氷壁』『欅の木』あたりが面白いのではないでしょうか。
川端康成は『古都』『みずうみ』が好きでしたね。
五木寛之さんはとにかく圧倒的に面白かった。『蒼ざめた馬を見よ』も良かったし、特に好きだったのは『天使の墓場』という作品。核兵器を積んだB52が墜落して……という小説ですね」
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1896年(明治29年)創立。『斜陽』(太宰治)や『金閣寺』(三島由紀夫)、『さくらえび』(さくらももこ)、『1Q84』(村上春樹)、近年では『大家さんと僕』(矢部太郎)などのベストセラー作品を刊行している総合出版社。「新潮文庫の100冊」でお馴染みの新潮文庫や新潮新書、新潮クレスト・ブックス、とんぼの本などを刊行しているほか、「週刊新潮」「新潮」「芸術新潮」「nicola」「ニコ☆プチ」「ENGINE」などの雑誌も手掛けている。
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