[地面師たち]ハリソンの描き方が違う? 原作とドラマの違いを解説[文庫ベストセラー]

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 9月25日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『透明な螺旋』が獲得した。
 第2位は『赤と青のガウン オックスフォード留学記』。第3位は『珈琲色のテーブルクロス 杉原爽香51歳の冬』となった。

 4位以下で注目は9位にランクインした『地面師たち』。2019年に単行本で発売され、2022年に文庫化された作品だが、動画配信サービスNetflixで綾野剛さん、豊川悦司さん主演で実写ドラマ化され大きな話題となりランクイン。不動産売買を舞台に莫大な金を奪い取る詐欺師「地面師」の犯罪を描いたクライムノベル。ドラマは実在の事件をモチーフにしていること、役者陣の怪演、電気グルーヴの音楽など様々な側面が話題となり、SNSを中心に連日話題となっている。

 書評家の大矢博子さんは原作とドラマを見比べる連載「推し活 読書クラブ」で《知略の限りを尽くすコン・ゲームの興奮、それぞれ特性の異なる者たちが集まってチームを作るオーシャンズ11もしくは戦隊ヒーロー的な登場人物の構成、騙す側・騙される側・追う側の極限の人間模様、実在に起きた詐欺事件を下敷きにした社会派な側面、そして地面師に人生を狂わされた拓海がその地面師になるという心の闇──原作で描かれたこれらの魅力を、ドラマは余すところなく映像で再現した》と紹介。一方で原作既読組が度肝を抜かれた改変もあったと述べている。また豊川さんが演じた詐欺師のリーダー・ハリソン山中の狂気の描き方について《序盤から狂気が見えるのがドラマなら、頭のいい変態がその狂気を終盤で一気に露わにするのが小説なのだ》とドラマと原作それぞれの魅力を解説している。

1位『透明な螺旋』東野圭吾[著](文藝春秋)

誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密 南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。同時に、男の行方不明者届を出していた同居人の女が行方をくらませた。捜査にあたった草薙と内海薫はその過程で、思いがけず湯川学の名前に行きつく。草薙はすぐさま湯川の元を訪れたが、彼はそこ、横須賀のマンションで意外な生活を送っていた――。巻末に短篇「重命る(かさなる)」を特別収録。(文藝春秋ウェブサイトより)

2位『赤と青のガウン オックスフォード留学記』彬子女王[著](PHP研究所)

女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王殿下による英国留学記。待望の文庫化!(PHP研究所ウェブサイトより)

3位『珈琲色のテーブルクロス 杉原爽香51歳の冬』赤川次郎[著](光文社)

杉原爽香は、余命わずかの老人・汐見忠士から、ある人物への遺言を託されてしまう。一方、高校1年の笹井友美は、家庭教師だった篠原純代と偶然に再会し、誘われるまま入り浸るように。そんな中、爽香は新幹線のホームで“包み”を拾う。落とし主の井出温子はこれから駆け落ちすると言うが、その後、車内で死体となって発見され……。人気シリーズ第37弾!(光文社ウェブサイトより)

4位『傲慢と善良』辻村深月[著](朝日新聞出版)

5位『赤と青とエスキース』青山美智子[著](PHP研究所)

6位『お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件10』佐伯さん[著](SBクリエイティブ)

7位『探花―隠蔽捜査9―』今野敏[著](新潮社)

8位『母の待つ里』浅田次郎[著](新潮社)

9位『地面師たち』新庄耕[著](集英社)

10位『香君1 西から来た少女』上橋菜穂子[著](文藝春秋)

〈文庫ランキング 9月25日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年9月28日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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