『鹿鳴館の花は散らず』
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『鹿鳴館の花は散らず』植松三十里著
[レビュアー] 産経新聞社
「鹿鳴館の花」と評されながらも困難な道を歩み、後に「日本のナイチンゲール」と呼ばれることになる侯爵夫人、鍋島榮子(ながこ)の生涯を描いた歴史小説。
公家の出の榮子は前夫と死別し最後の佐賀藩主で外交官の鍋島直大と再婚。鹿鳴館外交に尽力した後は、発足当初の日本赤十字社にかかわり、女性看護師への無理解を自らの行動で突破しながら、戦地などでの人命救助に奔走した。
意思を持って社会事業活動の先頭に立ち、日本の国際的な地位向上に貢献した生き方がりんとして美しい。日本赤十字社と皇室とのつながりの歴史にも触れた一冊。(PHP研究所・2090円)