「日本人だけではやっていけない」ユニクロ柳井氏も警鐘 野口悠紀雄氏はアメリカの強さの源泉を「異質なものへの寛容と多様性の容認」と解説[新書ベストセラー]

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 9月10日トーハンの週間ベストセラーが発表され、新書第1位は『アメリカはなぜ日本より豊かなのか?』が獲得した。
 第2位は『放送禁止。「あさ8」で知るニュースの真相』。第3位は『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』となった。

 先週に引き続き1位は『アメリカはなぜ日本より豊かなのか?』。一橋大学名誉教授で経済学者の野口悠紀雄さんがアメリカと日本を比較し、日本が豊かさを取り戻すために必要なことを訴えた一冊だ。野口さんは同書でアメリカの豊かさの源泉を「異質なものへの寛容と多様性の容認」にあると述べ、移民たちがアイデアや技術を持ち込みアメリカ経済を強くしていったと解説している。同書が2週連続で1位を獲得し、多くの国民がこのトピックを注視しているのがみてとれる。

 いまネット上ではファーストリテイリングの柳井正会長兼社長の発言に端を発した議論が盛んだ。8月下旬、日本テレビのインタビューに応えた柳井さんは、日本は30年間成長しておらず、これからは日本人だけではやっていけない、と語り、単純労働ではなく知的労働をする移民を増やし、生産性をあげていかなければならないと訴えた。これに対し、ZOZOの創業者・前澤友作さんや楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史さん、2ちゃんねる創始者のひろゆきさんらが様々なメディアで同発言に言及し議論百出となっている。一方で12日に告示された自民党総裁選では移民政策は特に大きな争点とはなっておらず、国民や経済界の関心事とは乖離が感じられる。

1位『アメリカはなぜ日本より豊かなのか?』野口悠紀雄[著](幻冬舎)

国民の能力に差はないのになぜ給料が7.5倍!?その理由を知れば、日本は現状から抜け出せる!アメリカと日本の国力の差は、縮まるどころか広がる一方だ。いまや一人当たりGDPでは2倍以上の差が開き、専門家の報酬はアメリカのほうが7.5倍高いことも。国民の能力に差はないのに、国の豊かさとなると、なぜ雲泥の差が生じるのか? その理由は「世界各国から優秀な人材を受け入れ、能力を発揮できる機会を与えているかどうかにある」と著者は言う。実際に大手IT企業の創業者には移民や移民2世が多く、2011年以降にアメリカで創設された企業の3分の1は移民によるものである。日本が豊かさを取り戻すためのヒントが満載の一冊。(幻冬舎ウェブサイトより)

2位『放送禁止。「あさ8」で知るニュースの真相』百田尚樹[著]有本香[著](飛鳥新社)

地上波では100%放送禁止のニュース解説!大人気ネット番組「あさ8」を書籍化!「『あさ8』に忖度は一切ありません。テレビが取り上げないニュースも堂々と取り上げますし、テレビの解説者が絶対に言わないこともはっきり言います。もし、私たちの発言が地上波テレビで流れたら、それだけでニュースになるでしょう。この本のタイトルが『放送禁止。』となっているのは、そういう理由です」(百田氏「まえがき」より)「『放送禁止。』の精神とは、エロ・グロ・ナンセンスのような類ではなく、偽善的な地上波放送が怖がって触れない、真に重要な問題に深入りするチャレンジ精神です」(有本氏「あとがき」より)「報道しない自由」を行使するメディアに宣戦布告する!(飛鳥新社ウェブサイトより)

3位『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』三宅香帆[著](集英社)

「大人になってから、読書を楽しめなくなった」「仕事に追われて、趣味が楽しめない」「疲れていると、スマホを見て時間をつぶしてしまう」……そのような悩みを抱えている人は少なくないのではないか。「仕事と趣味が両立できない」という苦しみは、いかにして生まれたのか。自らも兼業での執筆活動をおこなってきた著者が、労働と読書の歴史をひもとき、日本人の「仕事と読書」のあり方の変遷を辿る。そこから明らかになる、日本の労働の問題点とは?すべての本好き・趣味人に向けた渾身の作。(集英社ウェブサイトより)

4位『日ソ戦争 帝国日本最後の戦い』麻田雅文[著](中央公論新社)

5位『老後ひとり難民』沢村香苗[著](幻冬舎)

6位『吾妻鏡 鎌倉幕府「正史」の虚実』藪本勝治[著](中央公論新社)

7位『新型コロナは人工物か? パンデミックとワクチンをウイルス学者が検証する』宮沢孝幸[著](PHP研究所)

8位『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』Kazu Languages[著](SBクリエイティブ)

9位『開業医の正体 患者、看護師、お金のすべて』松永正訓[著](中央公論新社)

10位『多様性バカ 矛盾と偽善が蔓延する日本への警告』池田清彦[著](扶桑社)

〈新書ランキング 9月10日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年9月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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