【話題の本】『英国の邸宅遺産』ジェームズ・ストートン著、フリッツ・フォン・デル・シュレンブルク写真、ダコスタ吉村花子訳

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■内部を書籍初公開

英国の貴族や大地主が地方の所領に構えた城館「カントリーハウス」は見学できるところが多く、関連書籍も出されている。一方、彼らが議会出席や社交のためロンドンに建てた邸宅「タウンハウス」は、今では大使館やオフィス、クラブなどに使われ、大多数が公開されていない。

本書は、タウンハウスの20人以上が着席できる晩餐(ばんさん)の間や優美な曲線を描く階段など、ふだんは見られない内部の写真を満載。建築様式や内装の特徴、歴史、所有者について解説している。河出書房新社によると、書籍初公開の邸内を多数掲載。書店の建築書コーナーに並べられる本としては堅調な売れ行きという。

41邸を収録。ダイアナ元妃ゆかりの「スペンサーハウス」は壮麗な館だが、街並みに調和した簡素な外観ながら中に絢爛(けんらん)豪華な大空間を持つテラスハウス(棟続きの住宅)もある。首相官邸として知られる「ダウニング・ストリート10番地」も外観は地味でも内部は豪華。フォークランド紛争の勝利で自信をつけたサッチャー首相が、金箔(きんぱく)をたっぷり使った天井にしたという部屋の写真も。

英国の怪奇小説では、螺旋(らせん)階段にこだまが響くなど建物の構造が効果的に使われる。邸内が分かる本書は読書の役に立ちそうだ。(河出書房新社・7040円)

寺田理恵

産経新聞
2024年8月31日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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