【産経Books】『日本駆逐艦全史1896~1945』「丸」編集部編

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■全296隻、戦いの航跡

駆逐艦は小型・高速の戦闘艦。明治から先の大戦終結まで、先兵として敵艦隊への攻撃・偵察・哨戒・船団護衛などを担った。その全296隻の特徴を網羅したのが本書だ。

英海軍に範をとっていた日本海軍の一番艦「雷(いかずち)」(明治32年完成、排水量345トン、速力31ノット)は英国製。雷型駆逐艦は日露戦争で活躍し、中でも「漣(さざなみ)」はバルチック艦隊司令長官ロジェストウェンスキーが乗るロシア駆逐艦を拿捕(だほ)した殊勲で知られる。

日本駆逐艦発達史の転機となったのが、大正11年に調印されたワシントン海軍軍縮条約。保有量を米英海軍の6割に制限された戦艦の劣勢を補うため、重武装と航続力強化を求められた駆逐艦は独自の進化をたどる。国産は設計ミスで大事故を起こしたこともあるが、建造技術が着実に高度化。日本最速の41ノットを記録し日本駆逐艦の頂点と称された「島風」(昭和18年完成、排水量2567トン)はその精華だ。

本書に折り込まれた島風完成時の図面は見応え十分。巻頭カラーグラビアには著名な艦艇イラストレーターの吉原幹也氏による「戦う駆逐艦」画を収録。先の大戦で失われた133隻の沈没地点と日付が一覧できるマップから、ソロモン海戦やレイテ沖海戦の激しさが伝わってくる。(潮書房光人新社・3300円)

産経新聞
2024年8月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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