【話題の本】「冒険は、老年の特権」曽野綾子著

■シニア励ます箴言集『老いの贅沢』

河出書房新社が刊行した作家、曽野綾子さんのエッセーシリーズは「人生の収穫」（平成２３年刊）から「未完の美学」（令和４年刊）まで１６冊、累計７０万部を超えたという。令和２年以降は曽野さんの作品からえりすぐった箴言（しんげん）集に変わり、生き方の教訓となる短文に人生の指針を示す見出しが付けられている。本書はその第４弾。小気味いい曽野さんの金言が次のように紹介される。

冒険は、老年の特権

《年をとるということは実にすばらしいことだ。雑学も増える。少々危険なところへ行っても、もうそろそろ死んでもいい年なのだから、自由な穏やかな気分でいられる。冒険は青年や壮年のものではなく、老年の特権だ（後略）》

曽野さんを担当して３０年の太田美穂さんら２人の編集者が他の出版社の曽野さんの著作も読み込んで引用する文章をピックアップし、見出しを付けていく。編集者の腕の見せどころだ。本書は２４冊から１９６の見出しと文章が収められた。太田さんは「残された時間を大事にしていきましょうというシニアを励ます言葉で編んだ。曽野先生ならではの胸のすく、読者の方が『よくぞ言ってくれた』と思うきびきびとした文章を集めた」と話している。（河出書房新社・１３２０円）

斎藤浩