『京都の意匠　窓』水野克比古／水野秀比古著

　「窓」という言葉を辞書で引くと、「採光または通風の目的で、壁または屋根にあけた開口部」などと出てくる。しかし、京都の寺社や町家などの窓……もとい、窓のある風景を紹介する、この写真集を見ると、決してこの定義に収まらないことがよくわかる。

　円形の円窓、窓枠が花びらのような曲線を描く花頭窓、ハート形に似た猪目窓など、様々な形の窓が登場するが、窓越しに見える外の風景、中でも庭の風景は、窓の形に鮮やかに切り取られることで、＜時間や季節のうつろいとともに変化する絵として、インテリアとなる＞という指摘に、深くうなずきたくなる。なるほど直接見るよりも魅力的に映る。

　窓を単なる開口部にとどめることなく、内と外をつなぐ、魅力的なインテリアと考えた日本の建築の豊かさを改めて発見できる一冊だ。（光村推古書院、２２００円）（十）

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