『姿勢をゆるめる』
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『姿勢をゆるめる』片山洋次郎著
[レビュアー] 尾崎世界観(ミュージシャン・作家)
姿勢についてコレが悪いアレが悪いと、どうせ間違いばかり指摘されるに違いない。そう思って読んでみたら全然違っていて、どんどん体が前のめりになる。夢中でページをめくるうち、気づけば仰(あお)向けに寝転がって、顔の上で本を広げていた。なるほどこれが姿勢の個性、「体癖(たいへき)」かと思う。
頭、首、肩、背中、脇腹、脚。体の様々な部分に負荷がかかるのを感じながら、今まさに読書という運動を通して、この本に書かれていることを体感する。また、体の疲れを知るためのメソッド、体をゆるめるためのメソッドなども載っていて、ちょうど良い休憩になる。
ゆるめるためには緊張が必要だし、むしろ緊張があるからこそ、ゆるめることができる。食べたら胸やみぞおちがゆるみ、下腹に力が入るようになるタイプの人もいると書かれていて、レコーディングで歌う直前に食事をする自分の習慣に納得がいった。さらには「悲しみは胸をゆるめる」なんて名フレーズまで出てきて、硬くなっていた頭はもちろんのこと、心までしっかりときほぐされた。(河出書房新社、1540円)