東大卒の起業家が「読書ができれば他はなんとかなる」という理由 子ども時代に身につけたい「4つの力」とは

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2 言葉を使いこなす力

読書をすればするほど、言葉に触れることができます。
そうして語彙力が伸びると、思考や表現の幅は広がっていきます。私たちは、自分が持っている語彙を通じて物事を認識し、思考したり表現したりするからです。

たとえば「好き」という言葉を知らなければ、その気持ちについて考えたり、誰かに伝えたりするのは難しくなるでしょう。
もちろんその言葉を知らなくても、「好き」という気持ちを実感したり、表情や態度で表現したりすることはできますし、言葉にしないからこそ感じられる機微もあるかもしれません。
しかし、その気持ちについて深く考えたり、ストレートに表現したりするためには、言葉があるほうがスムーズなのは間違いありません。
言葉を当てはめていない物事について思考したり表現したりするのは、とても難しいことだからです。

裏を返せばそれは、言葉を知れば知るほど思考の幅が広がるということでもあります。本を読むことで語彙力が伸びれば、思考の世界が広がっていくのです。

語彙力が伸びていくと、言葉を使った表現力も豊かになっていきます。
ヨンデミーの受講生には、知っている言葉が増えたことによって、自分の心身の状態を伝えやすくなったという子どもがいます。
たとえばある子どもは、体調を崩したとき「喉の奥がギューッとなって吐き気に近い感じがした」と的確に伝えることができ、周囲の大人にスムーズに対処してもらえたそうです。
たくさんの言葉を知り、使いこなす力が身についたことで、自分にしかわからない体や心の状態をうまく伝えられるようになったのです。

対話やテキストコミュニケーションのときに言葉で表現する力は、どんな時代がきても求められます。
人間同士の関わりの中では言葉によるやりとりが欠かせませんし、たとえAIが進化しても人間が言葉によってAIに指示する力が必要になります。言葉を使いこなして思いを表現する力が肝要なのです。

そうした力を身につけるうえで有効なのは、言葉によるやりとりに接すること。
本を読んで登場人物の言葉遣いに触れたり、大人たちの対話を耳にしたりする中で、言葉の使い方は磨かれていきます。
しかしテレビやYouTubeなどの動画は、視覚的な情報によって、極論、言葉がわからなくても伝わることを目指してつくられているため、言葉を学ぶには適しません。
より効果的に語彙力を伸ばすことができて、思考の幅を広げることにも、言葉による表現力を高めることにもつながりやすいのが、読書だというわけです。

笹沼颯太(ささぬま・そうた)
1999年千葉県生まれ。株式会社Yondemy代表取締役。 筑波大学附属駒場中学・高校時代に英語の多読塾で指導を受ける。 2023年、東京大学経済学部経営学科を卒業。同大在学中の2020年に中高時代のスキルを活かして友人3人と読書教育サービス「ヨンデミー」を設立。 起業や会社の経営、営業、運営のすべてを「本から学びました」と語る。

Book Bang編集部
2024年7月22日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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