小説なのに印刷が上下逆?! ストーリーは720通り?! SNSで紹介され爆売れした道尾秀介の『N』文庫版で登場[文庫ベストセラー]

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 7月9日トーハンの週間ベストセラーが発表され、文庫第1位は『百年の孤独』が獲得した。
 第2位は『N』。第3位は『赤と青のガウン オックスフォード留学記』となった。

 2位にランクインした『N』は2021年に道尾秀介さんが発表した「体験型」小説。全六章で構成される物語だが、読者はどの章から読んでもよく、読者の選択により720通りの物語が展開する。本は一章ごとに上下反転されて印刷されており、章ごとの物理的なつながりも断ち切られている。その造本の特異さも含め、前代未聞の試みにチャレンジした一冊だ。今年1月に小説紹介クリエイターのけんごさんが同書を紹介した動画がTikTokやYouTubeで話題となった。

 道尾さんは今作以外にも、作中の二次元コードを読み込むことで音声が再生される仕掛けを導入した『きこえる』(講談社)や、物語の最後の1ページをめくることで隠された意味や真相が浮かび上がる『いけない』(文藝春秋)など数々の体験型小説を手掛けている。道尾さんは文庫化記念のインタビューで、「リアル脱出ゲーム」などの体験型エンターテインメントが好きで楽しんでいると告白し、《今の時代、本のライバルは本だけじゃないんですよね。あらゆるエンターテインメントがライバルなんです。じゃあ、それらに負けないようなエンターテインメントを小説で表現するにはどうすればいいのか。》と体験型小説を書き続ける理由を語っている。

1位『百年の孤独』G.ガルシア=マルケス[著]鼓直[訳](新潮社)

蜃気楼の村マコンドを開墾しながら、愛なき世界を生きる孤独な一族、その百年の物語。錬金術に魅了される家長。いとこでもある妻とその子供たち。そしてどこからか到来する文明の印……。目も眩むような不思議な出来事が延々と続くが、予言者が羊皮紙に書き残した謎が解読された時、一族の波乱に満ちた歴史は劇的な最後を迎えるのだった。世界的ベストセラーとなった20世紀文学屈指の傑作。(新潮社ウェブサイトより)

2位『N』道尾秀介[著](集英社)

読む順番で、世界が変わる。全6章、あなた自身がつくる720通りの物語。「本書は6つの章で構成されていますが、読む順番は自由です。はじめに、それぞれの章の冒頭部分だけが書かれています。読みたいと思った章を選び、そのページに移動してください。物語のかたちは、6×5×4×3×2×1=720通り。読者の皆様に、自分だけの物語を体験していただければ幸いです。/著者より」未知の読書体験を約束する、前代未聞の一冊! この物語をつくるのは、あなたです。すべての始まりは何だったのか。結末はいったいどこにあるのか。(集英社ウェブサイトより抜粋)

3位『赤と青のガウン オックスフォード留学記』彬子女王[著](PHP研究所)

女性皇族として初めて海外で博士号を取得された彬子女王殿下による英国留学記。待望の文庫化!(PHP研究所ウェブサイトより)

4位『よって件のごとし 三島屋変調百物語八之続』宮部みゆき[著](KADOKAWA)

5位『黒牢城』米澤穂信[著](KADOKAWA)

6位『塞王の楯 上』今村翔吾[著](集英社)

7位『#真相をお話しします』結城真一郎[著](新潮社)

8位『塞王の楯 下』今村翔吾[著](集英社)

9位『アルジャーノンに花束を〔新版〕』ダニエル・キイス[著]小尾芙佐[訳](早川書房)

10位『真夜中のマリオネット』知念実希人[著](集英社)

〈文庫ランキング 7月9日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2024年7月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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