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- クラスメイトの女子、全員好きでした
- 価格:660円(税込)
変なところも、ダメなところも、全部好き。傘をささない新井さん。霊が見える高城さん。小学校から高校まで、個性あふれる女の子たちとの思い出をラブレターのようにつづった、センチメンタル・スクールエッセイ!
木村昴さんが初主演を務めるドラマでも話題の『クラスメイトの女子、全員好きでした』(爪切男・著)より、冒頭部分を公開します。
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まえがき
「おまえは、女の子と恋はできないだろう」
小学四年生になったぐらいの頃、親父から言われた忘れられないひとことである。
言葉の真意がわからずにキョトンとする私を無視し、親父は話を続けた。
「子供のおまえには申し訳ないが、ウチは借金もあるし貧乏や。ワシに似てしまったから、顔もブサイクになるやろう」
今にして思えば、散々な言われようである。だが、父子家庭に育ち、一家の長である親父の言うことを妄信しがちだった私は、その言葉に耳を傾けるしかなかった。
「おまえは自分の顔と家柄で女を落とせる男じゃない。だから、ワシはおまえを強い男に育てる。男は見てくれじゃないぞ、たくましい心を持つ男に女は惚れるんや。でも、それはおまえが大人になってからの話や。若いうちは、全然モテへんやろうな」
「そうなんや、勉強ができてもあかんのかな。僕、勉強はクラスでも上の方やで。足も結構速いで」
「勉強ができても、運動ができても、顔がかっこいい奴には勝てん」
「噓やろ、なんか悲しくなってきた」
「安心せい、大人になったら、おまえの内面を見てくれる女の子がきっと現れる。だから、しばらくモテなくても我慢するんやぞ。ワシもいるし、爺ちゃんに婆ちゃんもいる」
「うん」
「よし、ええ子や」
そう言って、私の頭をポンポンと叩く親父。これ以上優しくされると、余計に辛くて泣きそうだ。
「お父さん、僕はどうしたらいいの? 恋ができない僕は、みんなが恋をしてるときにどうしたらいいの?」
「そうやな、“覚えろ”」
「覚える?」
「女の子たちの顔や、話したこと、過ごした時間をずっと覚えとけ。それは、おまえが大きくなったら、ほんまに大切な宝物になる」
「わかった、頑張って覚える! あと、大人になってから、僕のことを好きやと言ってくれる子が出てきたらどうしたらいい?」
「狩れ、逃さずに全員狩れ」
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