【話題の本】『イタリア女子が沼ったジワる日本語』テシ・リッゾーリ著 失敗談に親近感

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6カ国語を操る27歳のイタリア人女性が、「心から〝沼って〟しまった」日本や日本語への思いを日本語でつづったエッセー。4月下旬に発売され、3週間で増刷と好調だ。

英国での高校時代に日本人留学生から教わった俳句の季語や切れ字に魅せられ、日本語に興味を持った。英ケンブリッジ大日本学科在学中の1年間、上智大に留学。卒業後に再来日し、各地を旅しながら「ジワジワくる」日本語や人々との出会いをユーチューブなどで発信している。

本書でも「僕」「うち」などの多様な一人称や、「ウケる!」「やっぱり」「どなたさま」「無常」「暗黙の了解」といった言葉の由来などを考察。「顔がちっちゃい」と「顔が広い」では「顔」の意味が違うことに戸惑ったり、「ヤバい」のさまざまな使われ方に『枕草子』の「(いと)をかし」を重ねたり。

編集担当の高尾豪さんによれば、初版は年配男性が多いユーチューブの視聴者が中心だったが、増刷後はそれ以外の層にも広がっているという。「自分たちより日本を愛し、学んでいるんじゃないかと刺激をもらえる。失敗談も多く、親近感、共感を得られるのも魅力」と高尾さん。著者と一緒に日本語に沼ってみたくなる。(亜紀書房・1870円)

三保谷浩輝

産経新聞
2024年6月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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