なぜ他人の不幸を喜ぶのか…?「妬まれやすい人」が知っておきたい心理学テクニック  苦手な人の対処法も

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成功にも悩みは付きもの…

自分には直接関係がないことでも、他人の失敗に「ざまあみろ」と感じたことはないだろうか。

また逆に、他人から自身の成功を妬まれ、嫌な思いをしたこともあるかもしれない。容姿や学力に優れていたり、経済的に恵まれていたりするような「妬まれやすい人」ならば、苦労も多いことだろう。

なぜ我々は、他人の不幸を喜んだり、他人の成功を妬んだりしてしまうのだろうか。その理由が、心理学者・内藤誼人さんの著書『すぐに実践したくなる すごく使える社会心理学テクニック』(日本実業出版社)で解説されている。

他人の不幸を喜ぶ「ある現象」を逆手に取れば、妬まれやすい人でもうまく世を渡ることができるという。また、人間社会で生活する以上、避けることができない「苦手な人」への対処法についても、社会心理学から得られるヒントがあるそうだ。一体どんな方法なのか、みていこう(以下、引用は同書より)。

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「他人の不幸は蜜の味」である理由

芸能人や有名人が、何か問題を起こして謝罪会見を開くことがあります。そういうのを見ると、なんだかうれしい気持ちになりませんか。

タレントや、大金持ちなど、それまでずっと調子に乗っている人が問題を起こし、記者たちから厳しい質問攻めを受けているのを見ると、「ククッ、いい気味だ……」と思わずニヤニヤしてしまうのではないかと思われます。

これを心理学では、「シャーデンフロイデ現象」と呼んでいます。

「シャーデンフロイデ」というのは、他の人が苦しんだり、不幸な思いをしたりしているときに感じる喜びやうれしさをあらわすドイツ語。日本語には、「他人の不幸は蜜の味」という表現がありますが、それがまさに「シャーデンフロイデ現象」です。

イタリアにあるミラノ・ビコッカ大学のマルコ・ブランビラは、68名の大学生に、就職活動中で、自分と同じポジションを争っている同じ大学生が、交通事故を起こして面接を受けられなかったら、どう感じますかと聞いてみました。

すると、「とてもうれしい」という答えがたくさん見られました。私たちはライバルが悲惨な目に遭うと、うれしく思うのです。

人間には、そういうちょっと陰湿なところがあるのです。

他人の不幸をあからさまに笑ってはいけませんが、心の中で喝采を叫ぶくらいなら許されるのではないでしょうか。

わざと失敗を演出すればいい

また話は変わりますが、シャーデンフロイデ現象をうまく利用して、相手に好印象を抱かせることもできます。

私たちは、他の人の不幸を喜ぶわけですから、相手の前でわざと失敗したり、ドジな姿を演出したりしてみるのです。

普段、ものすごく仕事ができるとか、一流大学卒であるとか、実家がお金持ちであるとか、ものすごく顔だちが整っているとか、他の人からうらやましがられたり、嫉妬されたりする可能性の高い人は、あえてドジなことをしてみてください。寝ぐせをつけたまま出社したり、何もないところで転んだりしてみせるのです。

それを見た人たちは、シャーデンフロイデ現象が起き、「ドジだなあ」と笑いながら、とてもうれしい気分になるでしょう。

他の人に嫉妬されそうな人は、あえてドジな姿を見せて、相手にポジティブな感情をプレゼントしてあげましょう。そういうところで釣り合いをとるようにすると、人に嫌われることもありません。

ドジな演出をするのも、けっこう難しいとは思いますが、妬まれて足を引っ張られないようにするためには、そういう演出もときにはよいと思います。

苦手な人とうまく付き合うコツは…

仕事だから、と割り切ったり、表面的にうまくつきあえても、本音を言えば、

「どうも生理的に苦手だ」

「あの人とは肌が合わない」

「できるだけ口をききたくない」

そんなふうに感じる相手が、みなさんにも1人や2人はいると思うのですが、そういう人から逃げ回ろうとするのではなく、あえて相手の懐に飛び込んでいくことをおススメします。

苦手だから、とその人を敬遠していたら、いつまでも苦手意識は消えてくれません。それならいっそのこと、勇気を出して相手の懐に飛び込んだほうがよい結果を生む可能性が高いのです。

カリフォルニア大学バークレー校のエリザベス・ペイジ=ゴールドは、自分と人種の異なる人とペアをつくらせ、3回のミーティングをしてもらいました。ミーティングでは、毎回違う質問リストが渡され、そのリストを見ながら交互に相手に質問をし、その話題でおしゃべりしてもらいました。

ミーティングを行う前、参加者たちは人種の違う人と会うことにストレスを感じていたのですが、さすがに3回も会うと慣れてくるのか、ストレスを感じなくなり、ストレスホルモンであるコルチゾールの量もどんどん減ることがわかりました。

慣れれば、苦手も克服できる!?

苦手な人から逃げていてはいけません。

それよりも自分から話しかけましょう。何度も話しかけていれば、そのうち向こうからも話しかけてきてくれますし、そういうやりとりが増えれば、嫌悪感も少しずつ減っていくはずです。

食べ物の好き嫌いもそうですよね。

ニンジンが嫌い、納豆が嫌いと、嫌いなものを食べないと、いつまで経っても好き嫌いはなくなりません。一生、嫌いなままです。

ところが、無理矢理にでも嫌いなものを口にするようにしていれば、そのうちおいしいと感じられるようになるものです。むしろ、自分の大好物になることさえあるのではないでしょうか。

人付き合いにおいても、好き嫌いをなくしましょう。

嫌いなタイプにも積極的に話しかけていれば、そのうち気にならなくなります。いったん気にならなくなると、「どうして以前はあれほど嫌いだったのだろう?」と首をひねってしまうこともあります。

嫌いな人とはお付き合いしなくてすむのなら、逃げるのもひとつの作戦ですが、同じ職場であるとか、隣に住んでいるとか、逃げるのがなかなかに厳しい人もいるでしょう。そんなときには、今からでも遅くありませんから、どんどん話しかけるのが正しい方法です。

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人の行動や感情が、他人やまわりの環境によってどのような影響を受けるかを分析・研究する学問を社会心理学といい、その知識はビジネスや勉強、恋愛においても貴重な示唆を与えてくれる。心理学者・内藤誼人さんの『すぐに実践したくなる すごく使える社会心理学テクニック』では、女性と男性で明らかに差がある能力についての調査結果など、面白くて人生に役立つ知識を紹介している。

内藤 誼人(ないとう よしひと)/心理学者。立正大学客員教授
有限会社アンギルド代表。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、心理学の応用に力を注ぎ、ビジネスを中心とした実践的なアドバイスに定評がある。『すごく使える心理学テクニック』(日本実業出版社)、『心理学BEST100』(総合法令出版)、『人も自分も操れる! 暗示大全』(すばる舎)、『気にしない習慣』(明日香出版社)、『人に好かれる最強の心理学』(青春出版社)など、著書多数。

日本実業出版社
2024年6月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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