触覚にも快感センサー
人間は、聴覚だけでなく、触覚・触感によっても心地よいと感じることがある。これには、皮膚にある複数の「触覚センサー」が働いていると考えられている。
慶応大の仲谷正史准教授(神経科学)によると、感覚神経の一種「C線維」に刺激が与えられると、人間の意識や感情に関わる脳の「島皮質」という部位が活性化する。柔らかいブラシで、おでこや腕などのうぶ毛が生えている場所をゆっくりなでると、特に反応しやすいという。
親しい人と抱き合うと緊張が和らぐ。皮膚が押された時に圧力を感じるのが「メルケル細胞」で、感覚神経「Aβ線維」に結合している。詳しい仕組みは分かっていないが、愛情や信頼感に関わる「オキシトシン」というホルモンの血中濃度が高まり、気分が穏やかになるという。
仲谷准教授は「触覚は変化をいち早く察知し、身の危険を判断する感覚。親しい人に触れられることは、危険がないことの裏返しで、安心感をもたらす働きもあるのだろう」と話す。
読売新聞 中村直人
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