【Q&A】がんと診断されたら「セカンドオピニオン」はなるべく多く受けるべきか?

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セカンドオピニオンの受け方とは?(画像はイメージ)

 別の専門医の意見を求める「セカンドオピニオン」は一昔前と比べて、かなり一般的になってきました。

 もし、がんと診断され、「この医師だけに頼っていいのか」と不安に思えば、他の病院にセカンドオピニオンを受けに行くことも一つの選択肢です。

 では、セカンドオピニオンはできるだけ多くの病院を回ったほうがいいのか? それともセカンドオピニオンを受ける病院数を絞ったほうがいいのか?

 医師の答えは?

<A:がんのセカンドオピニオンはできるだけ数を絞って、時間をかけすぎないように注意しよう>

 その理由を「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系列)にレギュラー出演中の秋津壽男医師の著書『100歳まで元気なのはどっち? 長生きする人・しない人の習慣』より一部抜粋・編集してご紹介します。

 ***

 重病の場合、セカンドオピニオンを受けることは有効な選択肢ですが、サードオピニオン、フォースオピニオン、フィフスオピニオンまで聞きに行って時間をかけるのは良くありません。特にがんの場合、時間をロスするのは最も避けたいことです。病院をいくつも回っている間に転移して手遅れになってしまったということが意外にも多いのです。

 とにかくスピードが大事なので、セカンドオピニオンを受けに行くときは、最初の病院での検査データやレントゲン写真をもらって、次の病院に持っていくようにしましょう。手ぶらで次の病院に行ってしまうと、また最初から検査を受けなくてはならず、時間を大幅にロスすることになるからです。

 手術に関してバランスのとれた判断をするには、外科で言われたことは内科に相談し、内科で言われたことは外科に相談するのがコツです。

 たとえば、喉頭がんの手術をすすめられたとします。喉頭がんには、放射線治療のほうがいい場合と、手術で切除したほうがいい場合があるので、セカンドオピニオンを受けてみるのは良い判断でしょう。

 外科の医師は、手術する方向で考える傾向があります。どちらの治療法もあり得るという場合には、手術をすすめる外科医がほとんどです。

 一方で、内科の先生は自分が手術をしないので、切らないで治療しようと考える傾向にあります。なので、手術に関するセカンドオピニオンを受ける際は、現在かかっている診療科とは別の診療科で判断を聞くと良いでしょう。

 もし、外科の医師が「切らないほうがいい」と言うときは本当に手術しないほうがいいですし、内科の医師に「切ったほうがいい」と言われたときには本当に手術したほうがいいのだと納得することができます。

 セカンドオピニオンはうまく利用すれば、より効果的な選択肢を見つけられるだけでなく、自分自身が治療方針に納得でき、安心して治療に臨むことができます。ぜひこれらの方法を試してみてください。

秋津壽男(あきつ・としお)
秋津医院院長。日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本医師会公認スポーツドクター、日本体育協会公認スポーツドクター、日本禁煙学会認定禁煙専門医。1954年(昭和29年)和歌山県生まれ。1977年大阪大学工学部を卒業後、再び大学受験をし、和歌山県立医科大学医学部に入学。1986年に同大学を卒業後、循環器内科に入局し、心臓カテーテル、ドップラー心エコー等を学ぶ。その後、東京労災病院等を経て、1998年に品川区戸越銀座に秋津医院を開業。現在、『主治医が見つかる診療所』(テレビ東京系)にレギュラー出演中。著書に『放っておくとこわい症状大全』(ダイヤモンド社)等がある。

秋津壽男(秋津医院院長)

あさ出版
2024年6月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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