昼夜の気温差300度の「月」、二酸化炭素96%で呼吸困難な「火星」…ヒトは宇宙で暮らせるか?

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火星の「地球化」議論に


 宇宙で地球と同様に液体の水が天体表面に安定して存在でき、地球型の生命が生存できる可能性がある領域は「ハビタブルゾーン」と呼ばれている。

 京都大の山敷庸亮教授によると、太陽系外で見つかっている約4700個の惑星のうち、約260個がハビタブルゾーンにある。ただ、大きすぎるとガスや氷の塊のような惑星である可能性が高く、半径が地球の半径の1・9倍以下の惑星に絞ると約50個という。

 中でも地球に最も近い惑星は「プロキシマ・ケンタウリb」だが、光速の7%に匹敵する速さの宇宙船を開発できたとしても到着まで60年以上かかる。山敷教授は「移住するならやはり、身近な月や火星になるだろう」と話す。

 火星はハビタブルゾーンに近く、岩石などにとじ込められた二酸化炭素を取り出して人工的に厚い大気をつくり、地球に似た環境にする「テラフォーミング」ができるのでは、という議論がある。ただ、最新の研究では、「十分な二酸化炭素がない」との指摘も出ている。

 読売新聞 石川千佳

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Book Bang編集部
2024年5月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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