新しいNISAは何が変わった? 初心者におすすめ「つみたて投資枠」のメリットと金融口座の選び方

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投資初心者におすすめなのは「つみたて投資枠」

 NISAは、決められた投資額まで、運用で得た利益に税金がかからない制度です。ただし、非課税となる投資の限度額(枠)や、投資の対象となる金融商品などが、つみたて投資枠と成長投資枠とでは異なります。少額の資金で、毎月定期的に、長期にわたって投資信託などを買い増していくような運用に向いているのが、つみたて投資枠です。そして、まとまった額の資金で株や投資信託を売買して、短期間に利益を上げるような運用に向いているのは、成長投資枠です。とくに、初めて投資する人や、投資に回す資金が少ない人、投資に手間をかけたくない人には、つみたて投資枠がおすすめです。

 つみたて投資枠には、次のようなメリットがあります。

(1)非課税となる投資額は年間120万円までと、成長投資枠と比べて少なめですが、累積の非課税投資枠は最大1800万円(成長投資枠は1200万円)にもなります。

(2)積立投資は、株と違い、投資信託の毎日の相場をチェックして売買のタイミングをはかる必要もなく、投資に関わる面倒な手間がかかりません。はじめに投資をする日と金額、投資対象の商品さえ決めてしまえば、あとは自動的に長期の資産運用がラクに続けられます。

(3)長く投資をしている間には、急にまとまったお金が必要になることがあります。また投資信託の基準価額が急に上がったり下がったりして、いったんお金に換えたくなるケースも出てきます。そんなときに、つみたて投資枠ならいつでも投資信託を売却して現金化することができます。
 
 投資信託は国内外に大変多くの商品がありますが、その中でもNISAの「つみたて投資枠」の投資対象となるものは、金融庁が求める一定の要件をクリアしたものだけです。とはいえ、これらがすべての金融機関で取り扱われているわけではなく、取り扱う商品は金融機関ごとに異なります。そのため、自分が買いたい投資信託があるならば、それを扱っている金融機関でNISA口座を開く必要があります。

 つみたて投資枠で買える投資信託やETFは、比較的堅実に資産を増やす可能性の高い商品といえますが、元本が保証されているわけではなく、また必ず利益が上がるわけでもない点に注意しましょう。
 

値上がりしそうな投資信託を選ぶには、何をチェックすればいい?

 投資信託で株の株価にあたるものが「基準価額」です。基準価額は1日1回公表され、その額は毎日変動します。そのため株と同じく投資信託も「安く買って、高く売る」ことができれば、その差が利益(値上がり益)になります。では将来、値上がりしそうな投資信託を探すには、何に着目したらいいでしょうか。

 その1つが「純資産総額」です。これは投資信託が運用しているすべての資産の合計額で、通常は数十億~数百億円にもなり、その投資信託の「規模」を表します。一般に純資産総額は運用がうまくいっているときに増え、投資家が持っている投資信託の数(受益権総口数)が増えた場合も増加します。

 次にチェックしたいのが「基準価額」です。基準価額は純資産総額を総口数で割り、1万口あたりの価額で表されます。したがって、基準価額が上がって、純資産総額も増えていれば、その投資信託は運用がうまくいっていることになります。逆に、純資産総額が減っていたり、純資産総額が増えていても基準価額が下がっている場合は、運用があまりうまくいっていないと考えられます。

 また基準価額が一定の期間内にどれだけ上下したか、その変動率である「騰落率」にも気をつけるべきです。騰落率がプラスで高いほど、投資信託の値上がり幅が大きいことになります。

 注意したいのは、騰落率の「期間」です。直近1 週間とか、1ヵ月、6ヵ月、1年間、「設定来(運用開始から現在まで)」など、さまざまな期間で示されます。投資信託では短期的な値上がり・値下がりはあまり気にせず、長い期間で見ましょう。

 投資信託で得られる利益には、値上がり益のほかに、分配金があります。そこで騰落率とともにチェックしたいのが「トータルリターン」です。トータルリターンとは、一定期間内に投資で得られた総合的な収益です。現在保有している投資信託の評価金額に加えて、過去に売買した投資信託の損益額や、累計の分配金額(再投資分を含む)を含むトータルな損益金額です。

 このほか、投資信託にかかるコスト、とくに信託報酬の額にも注意が必要です。信託報酬は投資信託をもっているだけでかかるコストです。単純に安ければいいわけではありませんが、いろいろな要素を勘案して、なるべく安いものを選んだほうが得策です。

鈴木一之(スズキカズユキ)
株式アナリスト。千葉大学卒業後、大和證券に入社。株式トレーディング室に配属され、株式トレードの職務に従事。2000年に独立後、独立系株式アナリストとして、相場を景気循環論でとらえる「シクリカル銘柄投資法」を展開。景気、経済、株式、投資信託の動向などのわかりやすい解説に定評がある。テレビ、ラジオで市況解説を担当するほか、各種メディアや講演会でも活躍中。 『賢者に学ぶ 有望株の選び方』(日本経済新聞出版社)、『景気サイクル投資法』(パンローリング)などの著書のほか、『経済用語イラスト図鑑』『マンガでわかる投資信託入門』(いずれも新星出版社)などを監修。

Fun-Life!
2024年4月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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