「昨日まで元気だった人の心臓が…」とつぜん命を落とすことがある血管病の原因と予防法とは?

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■血管老化を防ぐ食事のコツは、いいものを摂り、悪いものを出すこと

 血管の老化を防ぐためには、血管を強くする食事を摂ること、そして体内に入ってしまった悪いものをデトックスすることが大切です。酸化、糖化、炎症を防ぐ代表的な食材は、ブロッコリーやショウガ、トマト、バナナ、ほうれん草など。抗酸化力の高い食材がおすすめです。

 また、炎症を抑えるために有効なのが油(脂質)です。脂質は細胞を包む膜(細胞膜)の成分です。血管内皮細胞も表面は油。油は血管を守ってくれます。血管を守るためには、青魚などに含まれるEPAやDHA、アマニ油、エゴマ油といった「オメガ3系」の油を摂りましょう。これらの油には血管だけでなく、全身の炎症を抑える効果もあります。

 デトックスとは、悪いものを体の外に出すことです。私たちは体の中に、腸、腎臓、肝臓といったデトックス器官を備えています。中でも重要なのは腸。不要なものを便として出すだけでなく、腸内の免疫細胞によって外部からの有害物質の侵入を防ぎます。また、肝臓は体内に入り込んだ有害物質を解毒してくれます。

 最強のデトックス物質は、脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンです。血管にこびりついたゴミを取り除いたり、傷ついた血管を修復したりします。ただし内臓脂肪が増えるとアディポネクチンは減少するので、太らないことが大切。また、大豆などアディポネクチンを増やしてくれる食べ物を摂ることも有効です。

■血管老化食材はこれ! 悪いものは摂らないのが吉

 血管強化のポイントは、よいものを食べ、悪いものを出すことですが、手っ取り早く血管老化を防ぐなら、悪いものを摂らないことも対策の1つ。悪いものの代表は化学物質です。その筆頭がたばこです。食品では、ファストフードやコンビニ食品。多くの添加物が使用されています。

 スナック菓子や清涼飲料水も同様。血管をボロボロにしてしまいます。しかも、これらは体に必要な栄養素をほとんど含まないにもかかわらず高カロリーで、肥満の原因になります。肥満はデトックス物質であるアディポネクチンを減らすことはすでに述べましたね。以下に、避けてほしい食品をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

食べないほうがいいもの

・白砂糖:洋菓子、アイス、清涼飲料水など
・トランス脂肪酸:牛肉、洋菓子、マーガリン、揚げ物など
・リノール酸:サラダ油、マヨネーズなど
・精製炭水化物:白米、小麦粉を使用したパンやうどんなど

■今日からできる! 血管を強くするために意識したい食べ方のコツ

 血管を強くするためには、食材だけでなく食べ方にもコツがあります。それはタンパク質、野菜、炭水化物の順で食べる「プロテインファースト」という食べ方です。

 炭水化物には糖質が含まれます。糖質は体内で分解されてグルコースという糖になり、血液中に送り込まれます。この「血液中のグルコース濃度」を血糖値といいます。炭水化物から食べると、糖が急激に血液中に取り込まれるため、血糖値の急上昇が起ります。血糖値の急上昇は血管老化の大敵です。

 また、これまでに、「体にいい」という理由だけで、偏った食材ばかりを摂ってしまったという経験はないでしょうか。たとえば、タンパク質が体にいいからと魚や肉ばかり食べていると、脂質の摂りすぎになることがあります。これは血管にとっては大問題。血管を健康にするには、食べ方そのものを変えることも大切です。

 まずは、「プラス食べ」をしないこと。いつもの食事にいい食材を追加するのではなく、調理に使うサラダ油を米油に置き換える、白米を麦ごはんに置き換えるといった「置き換え」の考え方が大切です。

 次に、「脂質の多い食べ物は、手のひら1枚分に収める」こと。コンビニ弁当などを見ると、からあげと魚がセットになっているものもあります。これはあきらかに脂質の摂りすぎ。肉や魚は手のひら1枚分以下に収めることを意識しましょう。減らした分、野菜を増やすなどの心がけを。

 そして、「1日1青菜」を心がけましょう。抗酸化力のある食材は血管の一番の味方なのに、現代人は圧倒的に野菜が足りていません。1日1つ青菜を摂るだけでも、体は変わります。ぜひ、これらをコンビニやスーパーに行ったときに思い出すようにしてください。

■自分の血管年齢を知り、意識的に健康管理をしよう

 血管年齢は医療機関で調べることができます。動脈の硬さを測定するCAVI(キャビイ)検査、脚の動脈の詰まりを測定するABI(エービーアイ)検査、頸動脈エコーを組み合わせて、血管年齢を導き出します。所要時間は30分で、痛みや副作用はありません。また、血管の炎症を調べるCRP検査や、内臓脂肪のCTを撮って動脈硬化の進行リスクを調べる検査などもあります。可能な限り、定期的に医療機関を受診して、健康診断を受けるようにしましょう。

杉岡充爾(すぎおかクリニック院長・医学博士)
すぎおかクリニック院長。医学博士。1965年生まれ。日本内科学会認定医、日本循環器学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、日本医師会健康スポーツ医。予防医学・救急医学・心理医学という、健康の入口と出口の両面からみている現役医師だからわかる、価値あるメソッドを伝えている。千葉県船橋市立医療センターの救急医療に約20年間携わり、約10,000人の心臓治療にあたる。患者を病気の前段階で予防できるような医学の重要性を強く感じ、“世の中から「心臓病患者を一人でも減らす」”というミッションのもと、2014年5月より千葉県船橋市において「すぎおかクリニック」を開院。患者に寄り添う人柄が噂となり患者が殺到、顧客満足度100%という驚異の人気クリニックとして、テレビ・雑誌等に出演。現在までにのべ10万人超を診ている。著書に、『強い血管をつくれば健康になる』(ベストセラーズ)、『強い血管をつくる5つの習慣』(同文館出版)、『最高の疲労回復法』(大和書房)、『おうちストレスを溜めない習慣』(クロスメディア・パブリッシング)など多数。

杉岡充爾(すぎおかクリニック院長・医学博士)/イメージ画像:Shutterstock

Fun-Life!
2023年11月14日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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